論理学入門 第3回 「論理的」と「論理学」の微妙かつ決定的な違い(接続の論理1:「かつ」と「または」)

受講生の皆さん、こんにちは。唐突ですが、復習のつもりで下の文章の括弧内にあてはまることばをちょっと考えてみてください。

論理とは、ことばとことばの関係の一種です。だから、ことばとことばをつなぐことばが、論理ではとてもだいじになります。とくに、論理学は(  )的推論を扱います。そして(  )的推論は(  )となるいくつかの文と(  )となる文の関係ですから、文と文をつなぐ(   )が、論理学では(  )と並ぶ最重要語になるわけです。
野矢茂樹著『入門!論理学』74頁)

どうですか。思い出せましたか。*1

4月21日「論理学入門 第2回 復習にも書いたように、明日の第3回目は、「否定」の論理学的な意味をおさらいしつつ、「接続」の論理学的な意味に入ります。具体的に言えば、すでに名前だけ紹介した「かつ(and)」と「または(or)」の二つを日常的な使用における豊かで曖昧な意味と、論理学で扱う単純で明確な意味の違いに焦点を合わせて解説します。(残りの「ならば」は連休明けの第4回に扱います。)

(この講義では、単に出来上がった標準的な論理学の体系を覚えることが目的ではなくて、日常の言語感覚の中から、論理的なものを割り出し、それらがどのように論理学的に洗練されているのかを広く深く見る柔軟な眼差しを身につけることが目的であることを忘れないようにしてください。その際、自分の違和感を大切にして、疑問な点は徹底的に解消するつもりで臨んでください。)

そして、「論理法則」と呼ばれる「必ず成り立つ命題」の意味の理解を一段深めます。それから、その理解に基づいて「否定の論理法則」と「接続の論理法則」をビシッと整理します。最後に、中学か高校時代の数学の時間に聞いたことがあるという人もいるかもしれない、有名な「ド・モルガンの法則」という美しく役に立つ論理法則が成り立つわけを解説します。「証明」ってやつです。

ところで、『入門!論理学』はもう購入しましたか?大学生協の書籍部に入荷しているはずですから、みなさん早めに購入してください。明日はその「第3章 『かつ』と『または』」を参考にします。 

次のような項目にそって話を進める予定です。

1 「論理的」になるにはどうしたらいいか
2 日本語の接続表現
3 論理学が扱う接続の型
4 論理法則の意味(「導入則」と「除去則」)
5 連言(「かつ」という接続の型)
6 選言(「または」という接続の型)
7 ド・モルガンの法則の証明

*1:前から順番に「演繹(えんえき)、演繹、前提、結論、接続詞、否定」が答えです。