オオマルハナバチ VS. 風太郎

朝の散歩から戻り、しばらくしてから、突然風太郎が激しく吠え出した。どうした、どうした、と風太郎の部屋を覗くと、大きな太った蜂に向かって吠えているのだった。

オオマルハナバチ(Bombus hypocrita, Bumblebee)だった。しかも二匹いる。かなり大きな羽音を立てている。外に出ようとして透明なガラスの部分にぶつかっては右往左往している。風太郎はその羽音と動きに犬的本能を刺激されているようだった。かなり興奮していた。詳しいことは知らないが、オオマルハナバチは性質が穏やかで人に向かって来たりはしないことを体験的に知っていた私は余裕しゃくしゃくとカメラと帚を持って、風太郎の部屋に入り、吠える風太郎を宥めながら、記念撮影をしてから、難なく二匹のハチを帚で出入り口まで誘導して外に出してやった。

風太郎の部屋は日中は暑くなりすぎないように出入り口の引き戸を開けっ放しにしてあるで、昆虫や先日のように野鳥などが迷い込んでくることがよくある。毎年スズメバチも入って来る。スズメバチはちょっと怖いという先入観が働くが、実際には、室内に紛れ込んで外に出られなくなった場合には、外に出ることだけで頭が一杯になってしまうのか、怯えてしまっているのか、こちらに向かってくることは過去11年間一度もなかった。

ちなみに、北海道に生息するオオマルハナバチには在来種のエゾオオマルハナバチと農業用にヨーロッパから輸入されて野生化したという外来種セイヨウオオマルハナバチとがいて、専門家の間では、生態系の破壊などが問題視されていることを初めて知った。

風太郎が戦ったオオマルハナバチはどっちなのか、あるいはハイブリッドなのか、分からない。それぞれの代表的な写真を見る限り、どちらとも色の線の入り方が違うように見える。