Henry Miller’s favorite café Wepler:365Films by Jonas Mekas

ジョナス・メカスによる365日映画、5月、138日目。


Day 138: Jonas Mekas
Friday May 18th, 2007
8 min. 41 sec.

On May 9th I am
meeting my friends
at Wepler, Henry
Miller
's favorite
Paris eating place --

5月9日
私は
ヴェプレー(ル)で
友人たちと会っていた。
ヘンリー・ミラーお気に入りの
パリの食事処。

ジャン・ジャック・レベルがいないだけで、昨日と同じカフェに見える。彼の隣でコルソーの思い出を語った婦人がいる。どこか見覚えがあるような気がするが、思い出せない。アリアンヌ・ミシェル(Ariane Michel)もいる。メカスと息子のセバスチャンが並んで座っている。オーグスト・バルカリス(Auguste Varkalis)がいる。彼はよく見えない小さな原始的なハーモニカのような楽器を吹いている。口にくわえて、片方の端を左手で押さえ、右手の指で弾きながら、吹く楽器。何という楽器だろう。同じ楽器をセバスチャンも吹き出した。ベン・ノースオーバー(Benn Northover)もいて、小さなハモニカを吹き始める。他には見覚えのある長髪にあご髭の年配の男性、初めて見る若い女性と男性。全部で九人。皆すでにワインで、すっかり出来上がっている様子。オーグスト、ベン、セバスチャンのトリオの即興演奏が次第に盛り上がり、メカスも即興の歌で参加する。

「パリの美しい夜。古き友と一緒に。(リフレイン)」

パリのクリシー広場にある1892年開業のヴェプレーピカソモンドリアンアポリネールが通った店として知られ、特にヘンリー・ミラーお気に入りのカフェとして有名である。彼は『クリシーの静かな日々』(Quiet Days in Clichy, 1956)の中でカフェ・ヴェプレーを褒め讃えている。

Quiet Days In Clichy: The World Of Sex

Quiet Days In Clichy: The World Of Sex

クリシーの静かな日々 (ヘンリー・ミラー・コレクション)

クリシーの静かな日々 (ヘンリー・ミラー・コレクション)

ここ、Miller WalksのBrasserie Weplerに、その箇所が引用されている。彼は1928年に初めてヴェプレーを訪れた。1932年から34年まではクリシー近郊に住み、足繁くヴェプレーに通い、どんな天気でも日がな一日、そこで過ごした。店の給仕や出入りする客の顔までも、毎日読む本の挿絵のように記憶に刻み込まれていると彼は書いている。