スズメバチの巣駆除騒動


(軒下に上部だけが残ったスズメバチの巣)
今朝、散歩帰りに、軒下にスズメバチが営巣しているKさん宅を駆除の件で相談しようと訪ねたら、Kさんが庭で厚い雨合羽を来て何やら作業をしているではないか。声を掛け、近づいて見ると、軒下の巣はすでになく、ちょうどKさんは落下した巣の残骸やハチの死骸を白い大きめのレジ袋に帚で掃き入れているところだった。え!Kさんは昨日とは別人のようなやや憔悴した表情だった。Kさんの話によると、昨夜ハチが寝静まってから一人で駆除したという。二階の窓から手を伸ばして、殺虫剤を注入して、巣をたたき落したらしい。なんと無謀な。かなりの数のハチが室内に飛び込んで来たという。それはそうだろう。ご家族を避難させたのか家にはお一人だったそうだ。詳細は不明だが、一人で殺虫剤で応戦したようだ。幸運にも刺されなかったという。スズメバチの大半は巣の中で死に、残りは逃げた。おそらくそのうちの一匹であろうスズメバチを私はKさんのお宅から数十メートル離れた場所で見かけた。庭にはハチの死骸が散在していた。

(巣の本体の残骸とスズメバチの死骸)
とにかく、Kさんが無事でなによりだった。ほっと胸をなで下ろした。色々と話しているうちにやはり札幌市の窓口に相談しても、結局要するに「出せない金を出せということだから、自分でやった」という経緯であったようだ。昨日のうちに、Kさんを再訪して、相談すればよかったと反省した。偶然にも刺されずに済んだものの、もし刺されていれば、三度目らしいから、ただ事では済まなかっただろう、と思うと、私の判断と行動の鈍さを反省しないわけには行かなかった。昨夜Kさんが実行することは十分に予想できたはずだ。私の中にもどこか他人事という感覚があったに違いない。Kさんとは無事駆除成功を祝い、記念の撮影を頼まれたものの、昨日の軽口とはまるで違うその口調と疲れた様子から、実はKさんは少なくとも無意識に私に助けを求めていたのではないかとも思った。そのシグナルを私は見過ごした。反省。しかし、仮に手助けしたとしても、私にできたことは、実際に駆除に手を貸すことではなくて、町内会なり何なりでお金を工面して、専門家(業者)に依頼することだったろう。繰り返すが、刺されなかったのは、奇蹟に近いと思った。それに、一部逃げ惑っているはずのスズメバチたちはどうなるのだろうか。

(昨日の様子)
Kさんには昨日撮影を頼まれたそれ自体は立派で美しいスズメバチの巣の写真をプリントしたものを渡した。とても喜んでいた。スズメバチにとっては気の毒なことだし、場所によってはもちろん安易に駆除することは間違っているだろうが、専門家や行政の対応が現状のままなら、今後もこのような素人による危険な駆除が繰り返されることは必至である。