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食堂「アイヌ料理」で注文した発音の難しい団子メニュー
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沙流川河口
昨日、LAPHROAIG*1を手土産に東京からタクオが半年ぶりにやって来た。前回は風太郎が死んだ直後だった。千歳空港で彼を拾って、あらゆる物語を洗い流すような雨の中を、そのまま平取町の二風谷へ向かう。二風谷ダムからは大量の水が勢い良く放出され、水位は下がっていた。魚道を遡る魚影は今回も見ることはできなかった。鮭や鱒やウグイたちは本当に遡れるのだろうか。萱野茂二風谷資料館では、アイヌ文様の「現代性」をめぐって、新鮮な感想を連発するタクオだった。私たちの他には中東系のカップルしかいなかったが、彼らとの出会いは奇蹟のようだった。チセ(アイヌの家)の不思議な設計図(家の構成要素すべてに「神」の名前がつけられ、それらがある規則性に基づいて配置されている)について質問されたが、お互いに、分かんないねー、と四人で笑った。食堂「アイヌ料理」でアイヌ語名の発音できないオオウバユリの団子などを食す。強風小雨の中、沙流川河口で二風谷の土地に改めて挨拶してから、札幌に向かう。道中、ゼロ年代前半の想像力をめぐって、話し続ける。
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中島公園交差点にて
ウドの花と勘違いしたヨウシュヤマゴボウ(洋種山牛蒡, Pokeweed, Phytolacca americana L.)の花。料理屋「田(でん)」にて
大分焼酎「泰明」。料理屋「田(でん)」にて
札幌に着いていったん別れ、夜、ススキノで合流する。地下鉄中島公園駅で待ち合わせ、あらゆる物語を洗い流すような雨の中、電車通りにある料理屋に向かう。ゼロ年代後半の想像力について話し続ける。
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田(でん)を出て、雨の歩道を北に向かって歩いていたら、どこからともなく女性ソプラノの美しい歌声が聞こえてきた。え!? どこ? どこ? 声が聞こえてくる先、通りの反対側に、BARespanaのネオンサインが輝いていた。オープンカフェのような屋台風スペイン酒場だった。躊躇せず通りを渡って店に向かう。超満員に見えたが、機敏なウェイターさんは、急遽カウンターの端っこに席を二つ設けてくれた。幸運の女神が微笑んだ。若きオペラ&カンツォーネ・トリオ「過激団」の若々しく張りのある熱い歌声と演奏に乗って、私は「ブラボー!」を連発し、カメラとともに踊り、タクオは時折「サイジョーさん、ごめんさない!」と意味不明の言葉をススキノ中に響き渡る声で叫んでいた。私たちのアンコールに彼らは笑顔で応えてくれた。三人が譜面の束からチョイスしたラストソングは、タイム・セイ・グッバイ。わたしたちは彼らの歌声と演奏を祝福のシャワーのように全身に浴びた。生憎の雨も祝福の雨のように思える時間だった。荏原(テノール)、川島(ソプラノ)、山本(ピアノ)、アディオス! 話もできてよかったよ。再会できるのを楽しみにしています。そして、タクオ、ありがとう。久しぶりにゾクゾクワクワクするとても楽しい時間を過ごすことができました。
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BARespana1, 0:10 「入れます!」
BARespana2, 2:23 「ブラボー!」
BARespana3, 1:43 「ブラボー!」
BARespana4, 2:15 「ブラボー!」
BARespana5, 0:30 「切りたいね、これ(イベリコ豚)」