Family:365Films by Jonas Mekas

ジョナス・メカスによる365日映画、12月10日、344日目。


Day 344: Jonas Mekas
Monday, December 10th, 2007
6:22 min.

cross-country
skiing in Saddleback
upstate NY

ニューヨーク州北部の メイン州にある
サドルバック
クロスカントリー・スキー。

(どうしたのだろう?)昨日に続いて家族四人が揃って登場する。特に、妻のホリス・メルトンが連日しっかりと顔を見せる。今までは6月6日に一度登場しただけだった。しかもそのときには、誰なのか不明だった。

雪景色の中を行く車。道路の両側には雪を被った針葉樹が続く。前方に白い峰が見え始めた。そして車は綺麗に除雪された一角に入る。沢山の車が縦列駐車している横を通り過ぎると、正面にロッジが見える。右手の大きな横長の木製の看板に"SADDLEBACK"と読める。

ゲレンデを望むロッジの前で、「じゃ、後でね」とメカスの声。「バーイ」と手を振るまだ幼いウナがちらりと映る。そこで一行はゲレンデ組とクロスカントリー組に分かれるようだ。ゲレンデを上から滑降してくるスキーヤーたち。白い雪煙が舞い上がる。

林の中に続く人気のない静かな雪の道。はるか向こうから大小二人の影が近づいてくる。ちょっとズームアップする。妻ホリスと息子セバスチャンだ。二人の聞き取れない声が聞こえる。メカスは道の反対側や雪を被った木々の枝や雪面の動物の足跡などを撮る。ちょと間を置いた後の映像が続く。すぐ傍にいるセバスチャンが何かの足跡を見つけたようだ。「何だと思う?」とメカス。「鹿じゃないかな」とセバスチャン。ちょっと離れたところでホリスは林の中に向かって写真を撮っている。メカスは妻と息子を見守りながらも、合間合間に木々の様子を撮る。

雪の上を歩く妻の足が映る。なんと表現したらいいか、キュッ、キュッ、という感じの雪を踏みしめる音が印象的だ。私の経験では気温零下10℃近いときに発せられる音。ロッジの前に戻ってきたところのようだ。

大勢の客たちのざわめきに満ちたロッジ内のカフェテリアでホッと一息ついたように寛ぐ一家。メカスは窓からゲレンデを撮る。強風で舞い上がる雪がリフトに乗った客を襲う。レンズがひどく曇っている。指で曇りを拭うメカス。周囲をきょきょろと見回す昨日よりもさらに幼い頃のセバスチャン。大きなカップのスープを飲むホリス。場所を移動したのか、大勢の客たちのざわめきに軽快なポップスが大きな音量で流れ始める。メカスと娘の聞き取れない会話。

移動する車中で、助手席からメカスは後部座席に座るセバスチャンとウナを撮る。運転手はホリス。ウナの隣にもう一人誰か、大人が座っているが、顔は映らない。彼または彼女がウナとゲレンデスキーを楽しんだのだろう。

宿に戻った一家の様子。ベッドの上に寝転がっておしゃべりするウナとセバスチャン。ホリスはデスクに向かって写真を見ている。同じデスクの上には書きかけの用紙が飛び出したタイプライターがあり、その横に分厚い原稿の束が見える。