復刻されたページの力:宮澤賢治「農民藝術概論綱要」


歴史の文字―記載・活字・活版 (東京大学コレクション)

活版印刷の新たな生を見つめ続けるLuftkatzeの平川さん(ブログ『活版散歩』)に薦められた『歴史の文字–記載・活字・活版』を捲っていて驚いた。



巻末にそこだけ違う紙を使って正しく活版印刷された宮澤賢治の「農民藝術概論綱要」の一部が収録されていた。一目見て、違う、なんて美しいんだろう、と思った。余白(スペース)感といい、各文字の切れと深みといい、活版印刷ならではのページの力、文字の力を感じる。ずいぶんと手間暇かけた復刻だったようだ。注にはこうある。

印刷所・ヨシダ印刷株式会社 文選・今度豊 組版・重森秀幸 印刷・中谷内清治 進行・田巻勝

先行する三頁は昭和十八年に十字屋書店から刊行された『宮澤賢治全集』(第六巻)の405–407頁を活版印刷で復刻したものである。以下の五頁は、ヨシダ印刷の製造になる九ポ大の外字と旧字の活字見本である。すべての文字は彫刻の手彫になる種字から鉛製母型を通して製造された。ここに驚異的な職人仕事の結晶を見ることができる。

「ヨシダ印刷の製造になる九ポ大の外字と旧字の活字見本」はこんな感じである。