活版印刷

Times New Roman

二月

復刻されたページの力:宮澤賢治「農民藝術概論綱要」

歴史の文字―記載・活字・活版 (東京大学コレクション) 活版印刷の新たな生を見つめ続けるLuftkatzeの平川さん(ブログ『活版散歩』)に薦められた『歴史の文字–記載・活字・活版』を捲っていて驚いた。 巻末にそこだけ違う紙を使って正しく活版印刷された宮…

第1回活版印刷ワークショップを見学して

本日午後、札幌市中央区南8条西9丁目に40年前からある日章堂印房で、酒井博史さん主催の第1回活版印刷ワークショップ「活字よ、こんにちは。」が予定通り開催された。私はなるべく邪魔にならないように、ときどき参加者の皆さんとおしゃべりしながら、写…

活字を通して、活字の彼方へ

いよいよ明日は酒井博史さん主催の第一回活版印刷ワークショップ「活字よ、こんにちは!」が日章堂印房で開催される。私はオブザーバーのような立場で参加するつもりである。ワクワクしている。 ワークショップの予定追加(「古い日記」2008年03月06日) 数…

ジャン・コクトオ『阿片』(堀口大學譯、齋藤書店、昭和21年)の欧文組

昨日のエントリー(従属欧文、ヒラギノ明朝のもうひとつの秘密)で引用した小林章氏の文章のなかに登場する「1930年代の本」、和欧混植の横組活版印刷の本の頁の美しさに心動かされて、手元にある本のなかで和欧混植の活版印刷された本をめくっていた。 数冊…

活版印刷ワークショップ続報2

篆刻師・酒井博史さん主催の活版印刷ワークショップ第一回の開催が一週間後の日曜日(3月9日)に迫っています。おかげさまで、第一回目はすでに定員に達し締め切られました。予想を超える反響に酒井さんも私も驚いています。酒井さんは当初から第二回目(3月…

西のギャラモン体、東の明朝体

Dictionnaire Chinois, Francais et Latin, Paris,1813.(『漢字西譯』) ジョナス・メカスの365日映画(365Films by Jonas Mekas)、302日目(2007年10月29日)には、驚嘆すべき中国語、フランス語、ラテン語の対訳辞典が登場した。メカス一行がパリのアニ…

活版印刷ワークショップ「活字よ、こんにちは。」続報

酒井博史さんの手になる活版印刷による「活版印刷ワークショップ」案内カード。美しい。 先日ある新聞社の方から活版印刷ワークショップに関する問い合わせがあり、今日ワークショップ会場となる日章堂印房で酒井さんとともに取材を受けた。その記者さんも、…

Garamond、カリグラフィーの記憶

欧文書体のうち、16世紀以来の複雑な系譜をもち、もっともポピュラーで、もっともよく使われてきたのがGaramond(ガラモン、ギャラモン)である。書体としてのGaramondの概要はこちらで。 Variation of Garamond(朗文堂 type cosmique) ギャラモン(ウィキ…

手の思想、手仕事

ジャック・デリダ(Jacques Derrida,1930年7月15日 - 2004年10月8日)は、文字とか声とか耳とか、暗闇でメモを取るとか、盲目の絵描きのこととか、手についてとか、およそ学問的知識の項目に値しないような周縁的な話題に思考を深く巡らせつつ、学問的知識の…

ハンコ(判子)の由来/ハンコの逸脱

酒井博史氏作ガラス印鑑「塊」 ハンコ(判子)って、ハンコウ(版行)が転じた言葉だとは知らなかった。先日、札幌での活版印刷ワークショップの企画(第1回活版印刷ワークショップは3月9日(日)です)に対して応援メッセージをいただいた朗文堂/アダナ・…

第1回活版印刷ワークショップは3月9日(日)です

第1回 活版印刷ワークショップ 活字よ、こんにちは。札幌市内はもちろん、日本全国でも、さらには世界的にも数少ない活版印刷を生業にしている印刷屋のひとつ、札幌日章堂印房の三代目酒井博史さんが、いよいよ北海道の活版印刷の最後の砦の「狼煙」を上げ…

活版印刷初体験記

以前からぽつりぽつりとアナウンスしている「活版印刷ワークショップ」の相談を兼ねて、酒井博史さんのお店「日章堂印房」にお邪魔して、活版印刷のミニ体験をさせていただいた。 ちょうど必要になった名刺作りも兼ねて、姓名「三上勝生」の明朝活字四文字を…

活字の源流から未来の書物へ

これは祖父の形見の印鑑のひとつ。初めて見たときはなんて小さいのだろうと驚いたが、隣のマッチ棒の断面よりもずっと小さな面に文字をしかも鏡文字を彫刻してきたのがいわゆる活字地金彫刻師たちである。 http://www.yaginoki.com/kaigan/about.html 一昨年…

活版のことを英語でmovable type(可動活字) という

欧文活字の活版印刷工房として戦前から異彩を放ってきた印刷会社に嘉瑞工房(かずいこうぼう)がある。初代の井上嘉瑞(いのうえよしみつ, 1902-1956)のプライベートプレス(Private Press)、つまり「アマチュアリズム」に興味を持った。ウェブ上では、 「…

活字の前衛はどこに

まだよく見えないところはあるが、活字の歴史を調べていると、あるひとつのことを感じざるを得ない。それは一定の活字を普及させた力、権力の構造である。本木昌造(1824-1875)から始まる日本における近代活字の歴史(日本の近代活字―本木昌造とその周辺)*…

凹みとかすれ

印刷見聞録*1に活版印刷の技術の核心にふれると思われる「凹みとかすれ」をめぐる記事がある。 2007-12-28「凹んでいるのが活版印刷!?」 昨年の活版印刷ブーム*2の中で発注時に多かった要望に次の二つがあったという。(1)「(少々文字などが潰れてもいいの…

ハンコ遊び

小学生の頃から、ハンコが好きだった。芋ハンや消しゴムハン作りにも夢中になった。その延長か、版画も好きだった。最終的なカタチとなって現れる元の型を作る喜び。そして実際にその最終的なカタチが目の前に現れた瞬間の喜び。 祖父と父の遺品を整理し、そ…

文字の母型、記憶の母型

活字そのもの、特に地上から消えかかっている活版印刷技術に惹かれる理由は、究極的には「記憶の秘密」に関係していると思っている。 文字の母たち Le Voyage Typographique作者: 港千尋出版社/メーカー: インスクリプト発売日: 2007/03/23メディア: 大型本…

LUFTKATZEからの便り

先日の朗文堂(「朗文堂からのメッセージ」)に続いて、銀座で「活版工房」というやはり活版印刷のワークショップをベテラン職人の方々とおこなっていらっしゃるLUFTKATZE(ルフトカッツェ、「空猫」)の平川さんから「同好の士」としての励ましのお便りをい…