同じ「か」でも:現代の新聞書体

朝刊(朝日新聞)に目を通していて、ふと平仮名の形が気になった。よく見ると結構凝った書風であることに気づいた。「の」の払いの曲がり具合、「か」と「が」の撥ねの角度などに独特の書風を感じた。

そもそも新聞で使われる書体は雑誌や本とは一線を画す、独特の扁平した懐の深い「新聞書体」である。同じ新聞書体でも新聞社によって異なる。ちょっと調べてみた限りでは、多くの新聞社がイワタ新聞書体派とモトヤ新聞書体派に別れるようだ。日経はモトヤ派。ただし読売新聞と朝日新聞は独自書体、毎日新聞モリサワである。


イワタ、モトヤ、モリサワ三社の概要と各社公式ウェブサイト。


試しに、朝日新聞の「か」と各社の新聞用書体の見本から「か」を拾って比較してみた。


朝日新聞の「か」

イワタ新聞明朝体の「か」(イワタ新聞社向書体

モトヤ新聞明朝2の「か」(モトヤの新聞用扁平書体(PDF, 22頁)

モリサワ毎日新聞明朝Lの「か」(モリサワ毎日新聞明朝L

見ての通り、たしかに朝日新聞の「か」はイワタ新聞明朝でもモトヤ新聞明朝でもモリサワ新聞明朝でもない。敢えて言うならイワタとモトヤの中間的書風である。真性活字中毒者なら、朝日新聞の本文用書体、特に仮名書体についてもう少し立ち入って、何を語れるのだろうか。