サボテンの魂




2005年3月20日撮影。アリゾナ州にて。

サボテンという植物がある。漢名は「仙人掌(せんにんしょう)」。「覇王樹(はおうじゅ)」という異名もある。アメリカで独り旅をしていたとき、アリゾナで自分の背丈よりもずっと大きなサボテンたちを見て仰天した。こんな乾いた土地でどうしてこんなに大きく育つことができるのかと。山ちゃん(id:caesarkazuhito)より大きなサボテンがごろごろいた。私が植物だったなら、劣悪な環境に負けて、育つことはおろか、すぐに死んでしまうだろうと思った。サボテンを尊敬した。劣悪に見える環境は、それを劣悪に見てしまう自分の側の見る目の未熟さがある。サボテンのように、他の植物にしてみれば劣悪かもしれない環境を良好な環境に見てしまう逞しさ。この写真の一枚を他の写真と合成した、それがサボテンとはにわかには判別しがたい写真をある詩人に見せたとき、即座に応答されたときの驚きを忘れない。「サボテンの魂ですね」と。