Andy Warhol, Empire (1964)
情報デザイン論受講生の皆さん、こんばんは。今日の第一回オリエンテーションはどうでしたか。
情報デザインの核心だと私が考える「時間の編集」ということの感触はうっすらとでも残ったでしょうか。
今日は『イメージフォーラム・フェスティバル2008』の紹介も簡単に行いました。フィルムやビデオは正に時間の芸術(アート)なわけですね。そこで駆使される時間の編集術には、個々の表現を越えて、人生、生き方を深く見直すチャンスがたくさん含まれていると思います。
また、国内外の77の実験的映像作品が17部門に分類され、5日間にわたって上映されるというプログラム自体を情報デザインの一例として取り上げて解説しました。そこには各作品に対する深い愛情と理解を背景とするディレクター澤さんの時間の編集を要とする情報デザイン力が発揮されていたわけでした。
澤さんが預けて下さったフェスティバル紹介用の作品抜粋ビデオを観てもらいましたが、そのなかで取り上げられていたアンディ・ウォーホルの伝説的作品『エンパイヤー』(1964)に触れて簡単に話したように、一見非常にプライベートな映像にこそ、一般的ではない、「普遍的な時間」の姿が垣間見られたと思います。アンディ自身はその映画のポイントを「過ぎ行く時間を見る(see time go by)」ことであると語りました。その辺りについて昨年「ジョナス・メカスによる365日映画」の中で書いた記事がありますから読んでみて下さい。
私たちはすでに色んな風に編集された時間を生きるように強いられています。ですから、よりよく生きるためには、そんなお膳立てされた時間を自分なりに編集し直す必要があるんですね。いったん裸の時間というか「リアル・タイム」に戻す必要がね。そのためには「リアル・タイム」に集中する訓練のようなものが必要で、アンディの『エンパイヤ』はそのお手本のような作品であると思います。