ワールド・モデル

今日は、今度は、どんな「世界」で行こうかな、といつも考える。歌舞伎の「世界定め」みたいなものだ。記憶のなかをまさぐって適当なワールド・モデルをあれこれ引っ張り出してきて、つぎはぎだらけの仮のモデルを想定する。土俵を設定する。筋書きをざっくりと思い描き、地図をラフスケッチする。要は、物語を前編集する。実際には、現場でこそ事故が起きたりもして、スリリングな編集が続く。死ぬまで、死んでも? 永遠に未完の物語。それが醍醐味。

現実の世界は余りに複雑だから、そして皆その複雑さに翻弄されて、疲れて、混迷しているから、今日は「この世界」で行くぞ、楽しいぞ、と走り出す。誰もついて来ないかも知れない。でも、独りでもいいじゃない。現実は現実、モデルはモデル。現実(複雑さ)とモデル(単純さ)の違いを認識した上で、モデル(理想)を機能させること。

俺は、私は、今日はこの世界で行こう、くらいの「アウェイ」の視線を持つことは案外重要かもね。「アウェイ」って、ジョン前田が、『シンプリシティの法則』(asin:4492556079)で10個の法則じゃ足りない部分があることに気づいて付け加えた3つの「鍵」のひとつだったね。

1つめの鍵 アウェイ

遠く引き離すだけで、
多いものが少なく見える。
(鬼澤忍訳『シンプリシティの法則』90頁)

原文はこうね。

Key 1
AWAY

More appears like less,
by simply moving it far, far away.
(The Laws of Simplicity, asin:0262134721, p.90)