献花の一輪が今朝落ちた

時の流れは不思議で、抵抗なく振り返ることができる時もあれば、まったく振り返る気になれない時もある。そして無理矢理振り返った時に見える過去の景色はピンぼけだったり歪んでいたりした。最近になって、あまり無理せずに少しずつ振り返ることができるようになってきた。散歩中、立ち止まって眺める植物たちが生きる時間は一瞬たりとも止まらない厳かな時間のような気がして、自分の生きる切れ切れ、ズタズタの時間が、やれやれ、と思いやられる。「救いなど ないのだ」という言葉がかろうじて救いになると思える瞬間に私は救われているのだろうか。「私たちの人生は、それぞれが時間を停めて生きた長さだけ先に延びている。犬はけっして時間を停めたりはしない。」 友人夫妻が風太郎のお悔やみに贈ってくれた献花の一輪が今朝落ちた。