ノンフィクションの作法

ノンフィクション作家の佐野眞一が語るノンフィクションの作法が面白かった。それは生きる力に直結する学ぶ力そのものだった。

 日本の教育の最大の欠陥は、インタビュー技術とフィールドワーク技術をまったく教えてこなかったことである。インタビューやフィールドワークは、何も新聞記者やテレビレポーターを養成するだけの技術ではない。
 人の話を引き出し、正確に聞き取って、深く理解すること(インタビュー)と、見知らぬ土地を訪ねて、風景と対話し、現地の習慣を身につけること(フィールドワーク)さえできれば、たいていの難関は突破できる。
 それは、自分がいまどこにいて、どんな立場に置かれているかを計測する”知の等高線”を自分の足裏と脳みそに刻みつける行為につながる。それこそが本当の意味での生きた”学力”であり、希望を生み出す源泉となる。

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ちなみに、私は自分が住む土地のことすらまだよく知らないし、そこに展開する風景ともまだよく対話しているとは言えない。町内を毎朝歩きながら、自分がよそ者であると感じることさえ多い。同じ町内に住む何人の人とちゃんと話をしただろうか。10人に満たない。自分が住む土地こそが見知らぬ土地といっても過言ではない。