読書
五十歳を過ぎて、本を読むために目を使うなんて馬鹿げている。目には他に使い途があるはずだ。世界にはもっと目で見るべきものがあるはずだ。一理あるようなないような極論であるが、そう豪語したのは百鬼園先生だったかな。記憶は覚束ない。他方、九十歳を…
一時、かなり複雑なマーキング法に凝ったことがあるが、最近は、数種類の曲線を自然に遣い分ける程度に単純化している。主に基本的になぜかくるりと上下いずれかに一回転させて両側に伸びる曲線をさっ、さー、てな具合に行頭や行間の余白に引く。後から見る…
諸般の事情により、小雨模様の朝、私はよく知らない町の狭い歩道を挟んで交通量の多い街道に面した小さなコインランドリーにひとりでいた。バラックのような粗末な作りの独立した無人の建物で、内部にはテレビはもちろん、両替機もなく、しかも決して清潔と…
「信用」という意味の英語の credit や goodwill に相当する「暖簾(のれん)」という言葉への興味から、山崎豊子のデビュー作『暖簾』(1957年)を読んでいたら、祖父母と一緒に暮らしていた頃よく食べた、昔懐かしい、とろろ昆布を食べたくなって、仕事帰…
イザベラ・バードの日本奥地紀行 (平凡社ライブラリー) 今から130年前の1878年(明治11年)に英国人女性イザベラ・バードが日本列島を旅した。彼女が歩いて、見て、聞いて、記録した「日本」を、それから約100年後の今から約30年前に宮本常一が解説した。そ…
半年ぶりに、雪のない道南の町に義理の母を訪ねる。 団地に隣接した、 巨大なスーパーの、 広大な駐車場に停めた車の中で、家族が買物している間、読みかけの カリスマ―中内功とダイエーの「戦後」〈上〉 (新潮文庫)作者: 佐野眞一出版社/メーカー: 新潮社発…
ノンフィクション作家の佐野眞一が語るノンフィクションの作法が面白かった。それは生きる力に直結する学ぶ力そのものだった。 目と耳と足を鍛える技術―初心者からプロまで役立つノンフィクション入門 (ちくまプリマー新書)作者: 佐野眞一出版社/メーカー: …
歌の祭り作者: ジャン・マリ・ギュスターヴ・ルクレジオ,Jean Marie Gustave Le Cl´ezio,管啓次郎出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2005/03/15メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (18件) を見る ふと思い立って一冊の本を持って豊平川に向…