「日だまりを楽しむ」という表現に驚いた。『宮本常一写真・日記集成』上巻(asin:462060609X)、1961(昭和36年)2月19日に、広島県尾道市の百島の泊で撮影された、縁側に腰掛けて談笑する男女5人の写真が掲載されている。明るい陽射しに包まれ、眩しくさえ感じられる写真である。手前の板塀には真っ白な敷き布団が日干しされている。それが地面に濃い影を落としている。そのコントラストが強烈な印象を残す写真でもあるが、その写真に「日だまりを楽しむ」というタグが付されていることに唸った。その時そこに流れていた時間を「日だまりを楽しむ」と表現しうるには、どれだけ広く深い体験が必要だろうか。ふと、動物に惹かれる時の心の動きの微かな感触を思い出していた。