Kさんちは人通りの多い交差点の角にあり、その庭は通りに面して非常に開放的である。要するに中が丸見え。居間の窓越しに朝食中のKさんの背中が見える日もある。その庭の入口に件のマスコットたちがいる(→ K劇場の秘密)。<トンチンカンの里>探訪はまだである。
今朝はKさんちに近づくにつれて、庭の中からKさんの朗らかな笑い声が聴こえてきた。しかも、そこに女性の笑い声が混じっていた。庭で仲のいい奥さんと談笑しているのだろうと思いながら、いつものように足許のマスコットたちに挨拶をしてからふと見上げると、なんと庭の奥に白い丸テーブルと白い椅子が、まるでオープン・カフェのごとく、設置されていて、こちらに背中を向けたKさんが二人の女性と向き合って座って、何やら楽しそうに話し込んでいるではないか。そこに奥さんの姿はなかった。二人の見知らぬご婦人は私と目が合って、軽く会釈したが、話に夢中のKさんは振り向きもしなかった。あるいはKさんのことだ、気づいていながら敢えて振り向かなかったとも考えられる。自分ちの庭にカフェもどきの空間を作って、そこに女性を誘い、楽しい時間を過ごすとは、Kさんも大したもんだ。時間があれば、参加したかった。Kさんの背中からは「三上さん、どうだ!」という声が聞こえたような気がして、とても愉快な気分だった。