皮膚科の待合室で

一週間服用を続けた抗アレルギー薬の新しい組み合わせ(→ 「オキロット、ダレン、アタラックス」)は効果があった。セレスタミンを服用した場合(→ 「アレロック、セレスタミン」)のように全身のかゆみは完全に治まりはしないが、ほとんど気にならない程度には軽減された。

しかし副作用の眠気と体のだるさは抜けない。医師と相談の上、一番眠気を誘うアタラックスを止めて、オキロットとダレンの二種だけをしばらく(二週間)服用し続けることにした。「仕事に差し支えなければ、我慢してください」という医師の言葉に、ちょっと躊躇った。たえず頭に霞がかかったような状態で、仕事に差し支えないと言えば嘘になるし、酒も飲めないのがちょっと辛い。だが、ステロイド系の薬を使わずに、こうして全身のかゆみが治まっているのは奇蹟に近いらしい。結局のところ、再び、かゆみをとるか、眠気をとるか、の究極の選択を迫られる。当然、眠気をとった。今後肝腎なことは、薬の止め時を見極めることである。

なにも願わない手を合わせる (文春文庫)

今日は診察を待つ間、待合室で、藤原新也の『なにも願わない手を合わせる』(文春文庫)を読んでいた。本書は、肉親が他界するたびに四国巡りをする藤原新也が壮絶な兄の最期に立ち会い、波立つ心を抱えて訪れた三度目の四国への旅を中心に、他者の死を受け入れるための心の変容過程としての旅の本質を綴ったものである。面白かった。ただ、いわゆる旅や巡礼でなくとも、例えば、毎日の散歩やものを書くことを通して、人は旅をするように、巡礼をするように、心を変容させることはできると思う。思い上がりだろうか。