二本の街路樹


昨年の今頃から突然はじまった全身の痒み、後に「慢性蕁麻疹」と診断された痒みとの付き合いも一年になる。抗ヒスタミン薬のオキロットとダレンを朝晩二回服用し続けている。私の場合はなぜかその組み合わせが効き目があって、日中はほとんど痒みから解放されている。しかし、夜になると体内のヒスタミン分泌量が増えるからか、全身のあちらこちらが痒くなり、どこかをポリポリと掻きながら書いたり、読んだりしている。私はこの体に痒みと同居しているような気分である。世間にはもっと長期間にわたって痒みと戦っている人が少なくないと聞くが、私もそろそろ、「ベテラン」の域に近づいているようだ。まだ、かな。今日は、入試のため早朝出勤。朝の散歩は休み。薬が切れかかっていたので、夕方、仕事を終えてから札幌駅の近くにある皮膚科専門医院に行く。札幌駅地下駐車場に車を停めて、徒歩で病院に向かう途中、二本の街路樹が目にとまり、立ち止まって見上げていた。いつの頃からかどこに行くにもたいていカメラをポケットに忍ばせている。そのときもコートのポケットにカメラを持ち歩いていた。何かが気になって、その街路樹を撮った。女医さんからは、体調に応じて服用する量を調節するようにとの忠告を受け、いつものように、オキロットとダレンを二ヵ月分出してもらう。病院を出て、駐車場へ向かうときにも、その二本の街路樹を見上げた。そのとき、ああ、と思い出した。ジョナス・メカスの365日映画で見た、その昔彼とジョージ・マチューナスが植えた二本の樹の記憶が浮び上がってきた。短かったけれども、いい散歩になった。

Two Trees in front of 80 Wooster Street :365Films by Jonas Mekas(2007年10月02日)


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