毎朝撮らせてもらっているダリアの写真を数枚一度届けてからは、塚本さんは出会うたびに渋い笑顔で感謝の短い言葉をかけてくれるようになった。そして大抵育てている花や野菜、それから椎間板ヘルニアの話になる。私のように散歩できるのが羨ましいとこぼす。今朝は、それだけでなく、「毎朝写真撮って歩いてるけど、あんた、フリーかい?」と聞かれた。フリーの意味に一瞬戸惑ったが、「そんなとこですが、これでも、一応、働いてます」と答えた。Bさんはそれでは納得しない疑いの表情を浮かべた。「まだ夏休みなんです」と付け加えると、納得した様子で、「ガッコーカンケーか、、。もう、てっきりフリー(引退の意味)かと思ったよ」と言って、ご本人もこの三月までは学校関係の仕事をしていたが、もう止めた、さばさばしたと言って、茄子の育ち具合をチェックしはじめた。とまれ、私は「フリー(自由)」と見られたことが、どこかこそばゆくも嬉しかった。少なくとも散歩中の私はフリー(自由)だ。