まあ、かわいい!

「あんた、フリーかい?」と言われてから(http://d.hatena.ne.jp/elmikamino/20090823/p3)、塚本さんにはしばらく会わなかった。今週はじめに、畑の茄子の前にしゃがみ込んで育ち具合をチェックしているところに行き合わせた。その時は軽く挨拶だけして通り過ぎようとしたが、「このあいだは、フートーまで、すまんね」というドスのきいた声が返ってきた。「は? あ、はい。いいえ、とんでもない」塚本さんは写真を入れた封筒に対する感謝の気持ちまでストレートに簡潔に伝えてくれたのだった。嬉しかった。実は、その数日前に大輪のピンクのユリの花の写真を届けた。それは通りに面した家の前庭に咲いていたものだった。塚本さんの領分らしい畑は通りをはさんで反対側の土地にある。一方、家の前庭は奥さんの領分のようだった。ユリの写真を届けた後、何度か奥さんから挨拶と感謝の言葉をかけていただいた。「いいえ、ただで撮らせてもらっているお礼ですから、どうか気になさらずに」が決まり文句になってしまったが、すでに書いたように、無邪気や善意が相手の心に負担をかけることもあることがひっかかったままではあるのだった。自分は「心のエコロジー」に反したことをやっているのではないか、と。しかし、何事も時間がかかるものだ、と思い直しつつある。今朝、畑の方の隅っこに咲くイワギキョウとコスモスの写真を塚本さんに届けるつもりだった。するとちょうど奥さんがゴミ出しのために家から出てきた。挨拶して「ご主人にこれを」と言って手渡すと、奥さんは目を輝かせながら封筒から写真を取り出してみるなり「まあ、かわいい!」と感嘆の声を上げた。ちょっと驚いたが、嬉しかった。「まあ、あのコスモスも!」と言って喜ばれた。