愛としてのアジール


アジール―その歴史と諸形態



アジールの日本史


網野善彦阿部謹也に多大な影響を与えたとされるアジールに関する古典的な研究書の邦訳と最近の若手研究者の研究書を読んだ。色々と勉強にはなったが、期待はずれだった。じゃあ、書くなよ、と云われるかもしれないが、書いちゃう。現代におけるアジールの本当の可能性について書かれていることをかすかに期待していたのだが、それはやはり著者や翻訳者自身の問題意識の深さに関わることでもあるので、期待しすぎたのかもしれない。だが、そのせいで、私が読みたいこと、書かれるべきことがはっきりしてきた。それは、単純なようで最も困難な実践のことである。つまり、アジールとは身体をかけた痛いほど孤独な愛、闘いのことなのだ、と。それは人格としても、空間としても、時間としても顕われるような特異点のような原点である、と。例えば、沖家室島で松本さんが実践しているような、ね。