An Inconvenient Truth

地球規模で思考するための恰好の訓練になる映画が米国で公開されました。
5/24にLAとNYCで公開されたAl Goreの地球温暖化レクチャーをもとにしたDavis Guggenheim監督のドキュメンタリーAn Inconvenient Truth(「不都合な真理」)です。少しでも早い日本公開が待たれます。この映画に関して日本でも数年前から知られるようになった「闘うサイバー法学者」と異名をとるスタンフォードの若き憲法学者ローレンス・レッシグ(Lawrence Lessig)が彼のブログ(アメリカのブログ文化の最も良質な部分の典型のような)の中で熱く語り、読者に強く推しています。曰く、「ここを読む人にお願いをすることは滅多にないが、これは例外だ。これ以上に重要な問題はない。ここまで強く訴えかける議論を目にすることはないのではないかと思う。映画としても見事で情熱に溢れてはいるが、根本において、このような場でおこなわれる対話と(少なくともその一部と)同じ倫理、すなわち事実と理性と少しの説得によって成り立っている。(中略)この映画を推すのは、たとえある意見を却下するつもりであっても、少なくとも理解してからにすべきだと考えるからだ。この映画はそのための恰好の機会になる。(中略)お願いする。他のすべてを置いてこの問題に取り組むことができるなら、わたしはそうしたい。どうか劇場に足を運んでほしい。」(日本語版Lessig Blog(JP)より)
できることなら、いますぐにでもアメリカに飛んで観たいものです。

「事実と理性と少しの説得facts, reason and a bit of persuasionによって成り立っている」議論。これは「論理的な観点」からも現実的な目標ですね。そして、「たとえある意見を却下するつもりであっても、少なくとも理解してからにすべきだ」からは、根強く強固な価値観と欲望の支配に絶望しながらも、先ずはほとんど知られていない事実と他の選択肢の可能性を「知る」ことが、「議論」を生み、現状を少しでも「良い方向」へ変える機会になるかもしれないという一縷(いちる)の望みに賭ける崖っぷちの楽観主義をひしひしと感じます。

レッシグはインターネットの「規制」や「共有圏」に関する新鮮な視点からの強力な議論で一躍名を馳せた理論家であると同時に、著作権を自分でコントロールするための新しいルールとしての「クリエイティブコモンズ」設立の中心メンバーとして活動し、またイラク憲法草案にも関わった経歴を持つ活動家でもあります。「情報倫理」では数年前から彼の主著『コモンズ』、『コード』における議論の概要を紹介する時間を設けています(昨年を除いて)。

lessig blog : http://www.lessig.org/blog/
日本語版Lessig Blog(JP) : http://blog.japan.cnet.com/lessig/archives/002865.html
映画An Incovenient Truthの公式サイトClimateCrisis.Net : http://www.climatecrisis.net/
QT Movie Trailer(2:30) : http://www.apple.com/trailers/paramount_classics/aninconvenienttruth/trailer/
Creative Commons Japan : http://www.creativecommons.jp/