論理学入門:「問題」への感受性

受講生の皆さん、こんにちは。
本日は
1)今までの聞く、読む場面での論理力のトレーニングから、自分の言いたいことを話す、書く場面での論理力のトレーニングの段階に入りました。そこで最も重要なことは、「問題」への感受性であること、すなわち、突き詰めて言えば、他人の考え(立論)に対する「違和感」を研ぎすますことが「問題設定」の出発点であり、それを反論(異論や批判)へと育てることの重要性について学びました。そして、実際に論文を書く、討論に臨む際に踏むべき基本的なステップに関して解説しました。メイン資料「10問題が問題である」とサブ資料「論文を書く」を再読して出発点と基本線をしっかりと押さえておくようにしてください。

2)さらに応用編として、一人の日本人として日々感じているはずの「違和感」を「問題設定」の出発点に据えて、批判の仕方や異論の立て方を鍛えていくことの重要性についても触れました。一見、「論文」や「討論」とはかけ離れているように思われたかもしれませんが、鎌仲ひとみ監督のドキュメンタリー映画六ヶ所村ラプソディー』は「映画」というメディアの文法を駆使した優れた「論文」であり「討論」なのだということも知っておいてください。しかもそこでの「問題」は、日本国内にとどまるものではなく、世界、地球規模の大きな「問題」にもつながっていることを。

3)初めて宿題を出しました。あなたが気にかかっていることを取り上げ、その違和感を「問題」に仕立てて、あなたの言いたいことを、違和感の原因であるはずの他人の考えに対立する議論(反論)として組み立てること、でした。違和感を研ぎすまし、掘り下げることが重要です。それがあなたにとって本当に「問題」なのか、どうか、そこを突き詰められなければ、一体誰の問題について誰のために論じているんだ?ということになってしまいますから。そして、「論文」とは単なる作文でもいわゆる「小論文」でもない、あくまで文章における「討論」なのだということを肝に銘じてください。