ブログは難しい

中山隆さんのブログ「横浜逍遥亭」は惚れ惚れするほどクオリティの高いブログです。梅田さんのブログで知り、それ以来時々訪ねていますが、毎回中山さんのブログにかける並々ならぬ気合いとセンスのよさに非常に感心しています。勉強になります。2006/08/02(水)のエントリー「ブログは難しい」には喝を入れられました。そこで中山さんはその前日08/01のエントリー「秋葉原UDXセミナーを聴きにいく」の文章の書き方(文体)を即座に反省し、さらなるステップアップをはかろうとしていました。
http://d.hatena.ne.jp/taknakayama/20060802

昨日の文章はパソコンの前に座り、勢いでものの10分で書き上げて公開した。だから「率直なコメント」であることはそのとおりなのだ。「5000円もふんだくっといて、時間の無駄させやがって」モードで書いた率直な文章だ。しかし、そのために書いた本人にしか分からない言い回しが支配的な文章に仕上がっている。自分自身のためだけに書く日記の文体である。橋本さん本人には僕が伝えたかったことはある程度汲んでいただけたとは思うが、それでもよもやご本人の前でこういう言い方はしないだろうという不正確きわまりない言い回しになっているし、他の方には何を言いたいのかよく分からない始末の悪い文章で終わっている。
Webに住んでいればいわれのない批判には慣れているだろうから橋本さんは別に気にもしないだろうが、僕自身はこのままだと気持ちが悪いので、もう一度だけ説明をさせていただきたい。
(中略)
この前の梅田さんといい、今回の橋本さんといい、Webの世界に住んでいる人物に言及すれば、つまりその人物に面と向かってものを言っているのと同じことなのだということはよく分かった。「勢いで書かない。少なくともそれが相手を傷つける恐れがあるメッセージであれば」と肝に銘じておくことにする。

これは、ブログは認識のプロセスと表現形態が従来にない形で結びついた新たな出版形態のひな形であると感じている私にとっても肝に銘じなければならない教訓にあふれた言葉だと思いました。私はよく指摘されるネット上の表現行為の「敷居の低さ」にあえて「抵抗する」ような心意気で書いてきましたが、それでもやっぱり「勢い」で書いてしまったことが少なくありません。中山さんのおかげで、すくなくとも「公開」するからには、「自分自身のためだけに書く日記の文体」を抜け出して、思いをちゃんと相手や読者に届けるための文体にまでもっていく工夫と努力が必要であり、公開するに際しての冷静さと慎重さは本や論文を書くとき以上に必要だと改めて思いました。