ブログの醍醐味と効用について、記録しておくべき驚くべき事件を、中山さんが『横浜逍遥亭』で報告してくださった。
「HASHIさんにお会いする」http://d.hatena.ne.jp/taknakayama/20061001#c
「2週間前に東京都写真美術館で始まった「橋村奉臣[HASHI]展」をほとんど偶然に訪れ、強烈な印象を受けた」中山さんが書かれた素晴らしいエッセイに深く記憶を撹拌させられた私は、思いつくままに、直接見てもいない橋村さんの絵について、直観的に書いた(「写真の批評性」)。それに鋭敏に応答してくださる形で、中山さんは再び別の観点からのHASHI論を書かれた(「橋村奉臣作品の機知」)。それにも深く心動かされた私は思わずまた直観的に書いた(「写真の物語性」)。
私はそれ以上の展開、リンクを想像もしていなかった。正直言って、忘れかけていた。
ところが、今日になって、中山さんに頭をガツーンと殴られた。「三上さん、忘れていないでしょうね」という声なき声とともに、橋村さんと作家の立松和平さんのトークショーに足を運んだ中山さんからTBが届いた。たまげた(魂消た)。
中山さんはトークショーの後、橋村さんとサシで対話されることになったのだ。なぜなら、橋村さんは、ブログ上での中山さんと私とのやりとりを先刻ご存知だった!詳しくは中山さんの臨場感溢れる上記の記事「HASHIさんにお会いする」をご覧ください。あまりにびっくりするやら、うれしいやらで、ちょっと引用しちゃいます。
間髪を入れずに「『横浜逍遙亭』? あなた、中山隆さん?」とおっしゃるではないか。橋村さんの表情は、破顔一笑というほかはない風に変化して、椅子から立ち上がり、「いやー、僕、あなたに何とか合いたいと思っていたんだよー。あなたと三上さんにぜひお会いしたいと思っていたんだよー」、立ち上がって大きな手のひらで握手をしてくれた。橋村さんが隣の関係者の方に「この方、ニューヨークにも4年住んでいた中山隆さん、僕のことブログで書いてくれた人」とまるでよく知っている知り合いを紹介するかのように語るのを聞きながら、呆気にとられて驚くほかなかった。ブログの威力と有り難みを感じ入りながら。
結局1時間以上、トークショーでは訊けなかった様々な話をお聞きすることができた。HASHIさんは、「今日は、あなたに会えて本当によかった」と言ってくれ、「三上さんにもお会いしたいなー」と何度も繰り返していた。
橋村さん、いつか是非札幌で個展を!こうして、私はブログのもつ、「怖さ」と背中合わせの「醍醐味」をまたひとつ体験した。ところで、また見逃せない鋭いことを中山さんは記していた。
HASHIさんの言葉の中で記憶に残るひと言を挙げると“pure”だ。ご自身の創作態度を語る中で語られたHASHIさんの“pure”はカタカナのピュアではない、破裂音を伴った英語の“pure”だ。HASHIさんの“pure”は日本語の中から浮かび上がって僕の心に焼き付いた。
そのときの印象を含めてHASHIさんに感じたことについては、またあらためて記したい。
これは楽しみだ。カタカナのピュアではない破裂音を伴った英語の“pure”。物凄く魅力的だ。