ジョナス・メカスによる365日映画、37日目。
Day 37: Jonas Mekas
Tuesday February. 6th, 2007 12 min. 05 sec.
Nina Hagen
just back from
India, performs
in New York
(July 22, 1998).
インドから戻ったばかりの
ニナ・ハーゲン
ニューヨークで公演
(1998年7月22日)。
旧東ベルリン出身のハード・ロック・シンガー、ニナ・ハーゲン(1955-)は、日本でも戸川純をはじめ、世界中のパンク少女たちに大きな影響を及ぼしたと言われる。1/21、21日目のフィルムの冒頭では、メカスの猫と会話していた非常に目の大きな女性。もともと大きな目をこれでもかとさらに大きく見せるような化粧をしていたニナ・ハーゲン。ステージでは、それにド派手なヘアースタイルと衣装が重奏する。
WIKIPEDIAによれば、ニナは劇作家のハンス・ハーゲンと反体制派詩人であり女優だったエヴァ・マリア・ハーゲンとの間に生まれた。父方のユダヤ人の祖父母はナチスの収容所で殺された。ニナがまだ幼い頃両親は離婚。その後母親はシンガーソングライターのヴォルフ・ビアマンと再婚。そのビアマンが共産党を除名されるにおよび、1976年、三人で西ドイツに渡る。
十代の頃からロック・バンドを結成し歌手として著名だった彼女のキャリアの中核をなすのは、幼い頃から親しんだオペラの歌唱法だった。ただし、いわゆる「ロック・オペラ」ではない。彼女は一人で老若男女の声を出す。まるで殺された祖父母はじめとする不条理にも生命を奪われた人々の記憶をその多彩な声を軸に、豊かな表情、派手なファッションによって、ステージ上に再現、再生、想起させようとするかのようだ。「ロック」や「パンク」というジャンルのほうこそ「意匠」にすぎないとさえ感じられるほど、彼女の存在感と歌の強度は並み外れている。
そんなニナの歌う姿をステージの袖から愛しい娘を見るようにメカスのカメラは捉える。
YouTubeでもニナのライブ映像をいくつか見ることができる。その中で出色だと感じたのはフィンランドの三人のチェリスト・バンドApocalypticaと共演したドイツのロック・バンドRammsteinの曲「船乗りSeemann, Seaman」のミュージック・ビデオ。