中山さんが書いておられるようにhttp://d.hatena.ne.jp/taknakayama/20070210/p1、2月9日(金曜日)私は東京にいた。お昼に羽田に着いたその足で、mmpoloさん(id:mmpolo)と中山さんとの待ち合わせ場所である銀座に直行した。HASHI展以来、四ヶ月ぶりの再会だった。銀座の裏の裏まで知悉なさっているmmpoloさんのお薦めで、春日という天丼屋さんで昼食を共にしてから、まずは私のわがままなリクエストでお二人と月島へ徒歩で向かった。
四方田犬彦著『月島物語』(集英社文庫)をガイドブックに、「下町ならぬ下町」、「露地ならぬ路地」を求めて、お二人と、日本、東京の百年余りの歴史を凝縮したような町を歩いた。
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佃島からいったん月島にもどり、もんじゃ焼き屋が軒を連ね、各種小売店が活気のある西仲通り商店街を抜けて、晴海通りに出て、勝鬨(かちどき)橋を渡り、築地を経由して銀座に戻った。途中、mmpoloさんが発見した夏みかんがたわわに実る樹、東本願寺の壮大な建築様式不明の建物に、私はたまげたりした。中山さんの記事の写真にあるように、歌舞伎座の前で、歌舞伎の「におい」をちょっとだけ嗅ぐこともできた。
ここまでが「序盤」。
その日のメイン・スケジュールは、mmpoloさんの案内による銀座画廊ツアー、しかもmmpoloさんが選りすぐってくださった個展、まだ若い芸術家たちの可能性を秘めた作品展を巡礼することだった。健脚のmmpoloさん、中山さんについて行くのは正直大変だったが、超面白かった。脚は棒になり、頭の中は消化不良を起こしかけていたが、それもまた楽しかった。混乱や不調和や不意打ちは大好きだ。訪れた画廊のほとんどで作家本人とも会うことができた。言葉を交わすことができた作家もいる。彼らはみんな真摯だった。自分自身に対しても外の世界に対しても。そして既存のシステムや構造には収まりきらない心と宇宙の混沌をそれぞれのやりかたで精一杯表現していたのだった。そんな若き魂たちのみならず、彼ら、彼女らを激励するmmpoloさんの姿にも、私は全身が痺れるほど感動しまくっていた。
午後6時すぎまで数時間の間に、なんと計17カ所の画廊を巡った。しかもその間mmpoloさんの老練なガイドで銀座の一角の知る人の極めて少ない裏の顔、街の記憶の痕跡を沢山見ることもできた。幸せだった。
強行軍ともいえる画廊巡りを終えてから、中山さんが選りすぐってくださったとても落ち着く小さな居酒屋でビールと焼酎を酌み交わしながら歓談した。話題はつきることなく、夜は更けて行った。お二人と別れて新宿のホテルにチェクインしたのは午前だった。エレベターに乗ろうとしたら、挙動不審のオバサンに「一人?」と声を掛けられた。一瞬十五歳の少年に戻った私は「は、はい」と言いそうになったが、すぐ次の瞬間には年齢相応のオジサンにもどって「いいや」と冷静に答えていた。そんな自分が可笑しかった。
お二人とはブログが縁で知り合うことになったのは間違いないのだが、ブログがなければ知り合えなかっただろうかと変なことを考えていた。多分知り合えなかったような気がするが、でもちょっとそうでもない気もするのは、私の中ではオンラインとオフラインがどこか地続きだからだろうか。なぜか、「オフ会」という感覚はない。