ハナトラノオ、ユウゼンギク、キンエノコロ、スベリヒユ、ヌルデ

札幌、薄曇り。暑くはないが、歩いているうちに汗ばむ。

藻岩山。

毎朝一瞥して通り過ぎる植物は何種あるだろうか。近づいて立ちどまって、見上げたり、見下ろしたり、覗き込んだり、しゃがんだり、地面に片膝をついたりして、撮影するものは、目にとめたもののうちの何割、いや何パーセントくらいだろうか。1割あるだろうか、5パーセントくらいだろうか。残りの9割以上は程度の差こそあれ、どんどん忘れていく。毎朝だいたい20枚から30枚撮る写真のうちブログに載せるのはせいぜい10枚だから、朝の散歩時に知覚する全植物のうち数パーセントしか記録していないことになる。しかもそれさえ忘れていく。その忘却に抵抗するように、同じ植物を違う日に、違う季節に、違う状態で撮り、忘れないようにしているが、それとて無駄な抵抗に思えてくる。

原生林や空き地や畑や道端では心置きなく撮影できるが、他人の家の庭に咲く花は、通りに面しているとは言っても、長時間観察したり、覗き込んだりすることは憚られるので、絞りもシャッタースピードもフォーカスも自動にしておいて、瞬時に構図だけ決めて数秒で撮る。ファインダーを覗き込んでいる暇はなく、液晶モニターで瞬時にチェックするだけ。ところがいちいち眼鏡を上げなければ、肉眼のフォーカスが液晶モニターに合わないので、勘に頼ることも多く、失敗することも少なくない。

毎朝見ているあるお宅の庭のハナトラノオ(花虎ノ尾, Physostegia, False dragonhead, Physostegia virginiana)の疎らになった花。なぜか今まで撮影しなかった。

これは別のお宅の庭で毎朝遠目に見かけていてエゾノコンギク蝦夷野紺菊, Aster ageratoides subsp. ovatus var. yezoensi)かと思っていたが、近づいてよく見ると違った。ユウゼンギク(友禅菊, Aster nobi-belgii cv. Long Blue)のようだ。

さらに別のお宅の畑の隅っこで、動物の尻尾みたいなイネ科の植物たちが目立っていた。これはエノコログサ(狗尾草, Setaria viridis P. Beauv.)、俗称「猫じゃらし」の仲間のキンエノコロ(金狗尾, Setaria glauca)である。小型の綺麗な蜘蛛が何かしていた。何かは不明。

キンエノコロの近くにヒマワリが7、8本立っている。そのうちの一本の花がちょうど目の高さくらいで、花心の美しさに惹かれた。

カボチャ畑の隅っこに極小の黄色い花を見た。葉が細長い団扇の形だ。スベリヒユ(滑ひゆ, Portulaca oleracea)だった。生薬にもなるらしいが、植えたようには見えなかった。

昨日「翼」のあるその特徴的な葉を記録したヌルデ(白膠木, Rhus javanica Linn)の低木の全容を撮った。