IMAGO '07 INTERNATIONAL YOUNG FILM FESTIVAL:365Films by Jonas Mekas

ジョナス・メカスによる365日映画、10月26日、299日目。


Day 299: Jonas Mekas
Friday, October 26th, 2007
5:00 min.

a video postcard
from the Imago
Independent Film
Festival
, Fundao,
Portugal ---

ポルトガルフンダウンで開催された
イマーゴ独立映画祭からの
ビデオ・ポストカード

おそらくポルトガル出身の若手映像作家の一人であろう、見知らぬ男性がカメラに向かって語る。

ハイ、ジョナス。
ようこそ、フンダウンへ。
イマーゴ祭は君がいなくて寂しいよ。
おいしいチーズやワインを味わってもらいたい。
いつかここに来て、僕らと一緒にテーブルを囲んでほしいな。
すごいステーキがあるんだ。君の映画について語り合いたい。
僕らがもっている映画はすべてここで公開したんだ。

彼は最後に背後の低い山に囲まれた町を振り向き指差して付け加える。「この素晴らしい景観を楽しんで」。
(この後、以下のような11のシーンが繋げられる。)

  • 白壁に赤と黄色の屋根の可愛らしいFUNDAOの駅舎を速度を落としたグリーンの車体の列車が停車せずに通過する。
  • 白い雲にほとんど覆われた青空。
  • 遥か彼方に山並みが見渡せる緑多い開けた土地を切り裂くように走る一本のアスファルト道。
  • 映画祭会場のとあるコーナーでドラムの演奏に興じる三人の若者。そのうちの一人はベン・ノースオーバーのようだ
  • 「ファンタスティック!」と聞き覚えのあるベンの声。テーブルの上の分厚い石焼ステーキ。焼かれた石もその上でジュージュー音を立てている肉も厚い。おそらくベンは最初にメカスに挨拶した男の仲間と一緒にどこかのレストランにいるのだろう。肉を苦労しながら切り分ける両手。幼児の声、両親の声など、店内の他の客の声が聞こえる。肉を切る女性の横顔が映る。

  • どこかへ向かう車中。一枚の絵。
  • "Nicola"という看板がかかるいい風情のスタンド・カフェ。店主のオヤジの姿が見える。
  • 6つの大きな分別ゴミボックスの陰から現われこちらに向かってやってくる少年。一つのゴミボックスには"VIDRO"(ガラス)と読める。
  • 狭いステージ上でのキーボード二人、ドラム二人からなる若者四人のバンドの演奏。映画祭の一環の音楽ライブイベントのようだ。
  • 夕闇迫る街角で独り遊ぶ少年。
  • 最後にカメラは、フェルナンド・ペソアFernando Pessoa, 1888-1935)の「異名」(Heteronyms)の一つリカルド・レイス(Ricardo Reis)の詩の冒頭部分の行を追う。

As long as I feel the full breeze in my hair
And see the sun shining strong on the leaves,
I will not ask for more
……
Ricardo Reis

イマーゴ独立映画祭とは9月29日から10月7日までポルトガルのサクランボが名産の小さな町フンダウンで開催された正式名称は「イマーゴ2007年国際若手映画際」(IMAGO '07 INTERNATIONAL YOUNG FILM FESTIVAL)である。明かされていないが、撮影は映画祭を訪ねたベン・ノースオーバー(Benn Northover)に違いない。この映画祭に関する日本語情報はウェブ上には存在しないようだ。開催地フンダウンに関する情報もほとんど存在しない。ちなみに、イマーゴ(imago)とはラテン語で「影」や「像」を意味し、精神分析学において主に両親との関係における理想的な自我像の形成を意味する用語として用いられる。