ジョナス・メカスによる365日映画、11月15日、319日目。
Day 319: Jonas Mekas
Thursday, November 15th, 2007
6:24 min.
While in Lithuania,
i receive back my
Lithuanian citizenship --
very serious business...
天井の高い大きな部屋で数十人の男女が厳粛な面持ちで椅子から起立したままリトアニア国歌の演奏に耳を傾けている。メカスは後ろの方の席から、部屋のなかの様子をかなり遠慮気味に撮影する。それでも天井のシャンデリアなんかをちゃんと撮ったりしている。
(めずらしく、フェード・アウト)
全員が着席するなか、名前を呼ばれたメカスは正面に歩み出て、渡された宣誓書をリトアニア語で読み上げる。「プブリカ」(共和国)、「デモクラチア」(民主主義)くらいしか聞き取れない。宣誓が終わると、宣誓書にサインする。サインし終えると、女性担当官が一輪のバラをメカスに手渡す。メカスは感謝の意を抱擁で表わす。そして一輪のバラを手にカメラの方をちょっと振り向いてからそのまま退室する。市民権授与の儀式は終わる。このシーンの撮影はベン・ノースオーバーのようだ。彼のひそひそ声が聞こえた。
テーブルの上に置かれたパスポート。リトアニア語で"PASAS"と読める。エンヤの曲が流れるレストランで「パスポートに」と赤ワインで乾杯し、歓談するメカス一行。セバスチャン、ベン・ノースオーバー、ツォーカス前ヴィリニュス市長の顔が見える。そして見知らぬ男女二人。メカスは本当に嬉しそうだ。ペーター・クーベルカにも知らせなくちゃ、と言っている。
明るい陽射しの中、セバスチャンが両手一杯の落ち葉を投げ上げる。落下する落ち葉が複雑な美しい軌跡を描く。吹きだまったような大量の乾いた落ち葉を踏みしめる靴音。裸になった木を見上げるメカス。広場の中をゆっくりとどこかへ向かうメカス一行。カメラは石畳の落ち葉と一行の影を追う。