オジサンと呼ばれて

出会うたびに、「あ、カメラマンのオジサンだ!」「カワイイ!」と声をかけてくる通学途中の生きのいい小学生の四人組の女の子たちがいる。カワイイのはもちろん私ではなく連れの風太郎のことである。彼女たちは好奇心旺盛でいろいろと尋ねてくる。「今日、帽子が違うよ」などと観察も細かい。カメラのことにも詳しい娘が一人いて、「キャノンの〜だね」とか「この間と違うカメラだね」とかカメラ談義になることもある。今朝は風太郎が12歳で人間で言えば90歳近いと聞いて彼女たちは驚いていた。「見えなーい!」若く見えるらしい。おじさんは何歳に見える?ときくのは怖くて止めた。

実は昨日あるおばあさんから大声で「オジサン!」と呼び止められて、ギョッとした。風太郎を他の似ている犬と勘違いしたのだった。私よりかなり高齢であることは間違いないおばあさんに「オジサン」と呼ばれるようになった自分に、一瞬自己イメージが撹乱されて、笑ってしまった。そうだよなあ。彼女の立場にたったなら、俺のような男に何て呼びかければいいか、迷うよな。「そこの旦那」「ちょいと、おにいさん」……。やっぱり「オジサン」しかないか。