鶴ヶ谷真一『月光に書を読む』


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素白先生の随筆に出会ったのが奇縁となって(「素白先生の写実精神あるいは散歩と旅」)、素白との出会いを記したこの本に出会うことになった。著者の鶴ヶ谷真一氏は素白の本との出会いについてこう書いている。

 もしあの本に出会うことがなたっかなら、今の自分はなかったかもしれないという本が何冊かある。そのなかでも特別の思いにつながるものが、岩本素白の随筆集『山居俗情』だった。確か三十代の終わり、今から四半世紀も昔のことになるが、神保町のとある古書店の書棚に、ひっそりとたたずむように置かれてあるその本を目にとめたのだった。箱入りの歌集か句集を思わせる。地味ながらも心くばりを感じさせる装幀にまず心をひかれたのかもしれない。著者については何も知らぬまま、その本を手にしたのだった。
(85頁)

「著者については何も知らぬまま」の本との出会い。ブログの出会いもそれに似ている。帯に見えるように、「まず、ゆっくり読むこと」を心がけようと思う。