我が家にはもうない物


アスパラガス(Asparagus, Asparagus officinalis)

札幌、雨のち曇り。無風。やや蒸し暑い。風太郎不調。散歩は早めに切り上げる。散歩中、明け方見たらしい夢の断片が浮かぶ。詩人から映画人になった吉増剛造さんが現れる。雪の大地が予測できない方向に大きく傾く上で、二人で何かを話していたが、その内容が思い出せない。どうせ、大したことは話していないはずだ。それより、雪の大地が傾く現実感、身体感が鮮明に残っている。悪くない感じだ。そういうことが年に一、二度ある。きっと北海道に来ているのだろう。あるいはそろそろ来るのだろう。さすがの念力である。

まだわずかに霧雨が降るなかを道端に落ちている物や水たまりに映る電線やプラタナスの像などをぼんやり見ながら歩いた。東京の手拭いオッサン(id:hayakar)がめずらしく人物の登場しない「風船」が主役のイラストなんか描いていて、目を奪われた。東京あたりにはまだ「レジ袋派」がけっこう生き残っているようで、嬉しい。『アメリカン・ビューティー』を借りて来よう。ヴェンダースの『ベルリン・天使の詩』でも、一番美しい映像は、旧東ベルリンの空き地かどこかで樹の枝が無意味に美しく揺れている場面である。ヴェンダースジョナス・メカスの古いブルックリンの映像を引用したに違いない。

小野さん、山崎さん、坂東さん、倉田さん、金城さん、...の家にはこんなスコップがあるんだろうな、とふと思う。我が家にはもうない。


あ、藻岩山の頂上が見えてきた。