「雨降る夜」と「あたたかい」の間に

昨夜は、スガハラさんの「雨降る夜はあたたかい」という題名の下に綴られた文章に深い傷のような割れ目を強く感じて、思わず返歌のようなエントリーを書いた。一見さりげない題名「雨降る夜はあたたかい」にひっかかった。それでなくても寒いこの時期、雨降る夜があたたかいわけがない。寒いに決まっている。こごえそうかもしれない。だから「雨降る夜」に「あたたかい」をつなげるというのは普通ではない。雨降る夜の寒さの中でもあたたかく感じられるためには、心のなかに灯をともさなくてはならない。そしてそれは生活の中で、生活の隅々にまで、できるだけたくさんの小さな灯をともすこと、ともそうとすることによってしか果たされないという覚悟と実践が綴られていた。「雨降る夜」が象徴する寒い深い闇。スガハラさんはそこに誰もが「あたたかく」感じる灯を実際に次々とともしはじめている。くだんの「キノコ作り」もはじまったようだ。文章をジャズの演奏にたとえるなら、スガハラさんは「雨降る夜」と凍えそうな心の間で、誰にも真似できない見事な即興演奏を聴かせてくれたということだと思う。

ジャズじゃないけど、こんな曲、演奏がふさわしい気がした。

Luiza - Jacopo Barbato