木を植える音楽家、坂本龍一

現在国内ツアー中の坂本龍一が北海道にもやって来る。音楽が目に見えない心の土壌を耕し、そこに目に見えない木を植え、目に見えない森を作ることもできる技芸だとすれば、実際の植樹は目に見える地球規模の「音楽」と言えるのかもしれない。坂本龍一は4月19日(日曜日)の札幌キタラでのコンサートの翌日に、上川支庁下川町での森作りに参加する。「モア・トゥリーズ」の国内三番目のプロジェクトでもある。

かつて宮本常一は自らを日本列島の津々浦々を歩きながら日本人を元気にする情報を運ぶ「伝書鳩」と称した。それに倣えば、坂本龍一は世界中を渡り歩き地球人を元気にする情報を運ぶ「伝書鳩」と言えるかもしれない。

僥倖にも、諦めていた日曜日のコンサートのチケットが手に入り、初めて音楽家坂本龍一の演奏を生で聴く機会に恵まれる。音楽が狭い意味で音楽家であることを超えて、地球上のあちらこちらに実際に木を植えて歩く人に育てた「秘密の旋律」を聴き取ることができればと思っている。