2008-03-25から1日間の記事一覧

印刷史の盲点

『印刷史/タイポグラフィの視軸』(asin:4916043820)の「近代日本活字史の基礎知識」で、府川充男氏は江戸期の書体に関して当時の身分差別の観点から次のように述べる。 江戸期に、庶民が明朝体の書物を読んだりすることはまずありえませんでした。つまり明…

10年前のタイポグラファー宣言:津軽海峡を渡った『組版原論』

「先生、最近ちょっと肩に力が入りすぎてるんと違います?これでも読んで、力を抜いた方が見通しよくなると思いますけど」とは言わないが、そんな空気に包まれて一冊の大型本が届いた。デザインを生業にしているタクオが、私の十年遅れの牛歩の歩みを見るに…

誰もが皆、先に進みたがる。しかし、今は、後戻りするほうが、ずっと賢いと私は思う。

忘れた頃にやって来たジョナス・メカスの本。以前何度も言及した村田郁夫訳『どこにもないところからの手紙』(書肆山田、2005年)よりも早く2年前に出版された仏訳本である。後半に英訳も収録されている。表紙写真がとてもいい。 Jonas Mekas Lettres de Nu…

ヤマガラ、キタコブシ

新芽、若葉に目が行く。 スズメ(雀, Tree Sparrow, Passer montanus)。「スズメはあなどれない」のだった。 ヤマガラ(山雀, Varied Tit, Parus varius)、久しぶりに見た。忙しなく動きまわるのでフレームにおさめるのがやっとだった。昨年は3月から4月に…

江戸文字

江戸時代に庶民が親しんでいた書体をできるかぎり知りたいと思っていた。ちょうど府川充男著『組版原論』(asin:4872332725)の第1章のはじめ「タイポグラフィーへの視線」はいわゆる「江戸文字」の話から始まっていた。「江戸文字」といっても、仔細に見れ…