情報文化論2007 第8回 東方の思潮:仏教の展開とイスラム

今回は目を「東方」に転じます。10世紀までが舞台です。西ではヨーロッパがヨーロッパをだんだん自覚するようになる時期に、東方ではイスラム世界が活気を呈していました。その影響もあってさらに東ではインドに誕生した仏教が中国へ半ば追いやられるようにして伝播開花し、さらには日本へも飛び火します。例によって、膨大な歴史的情報を目の前にして、今回もポイントを二つに絞り込みたいと思います。ひとつは、後のヨーロッパのルネサンスを準備することになる、9世紀に空前の円形都市バグダードに作られた「知恵の宝庫」や「知恵の館」で進められた世界の知識の収集、ギリシア語文献の翻訳そしていわゆるアラビア科学と哲学の研究などを可能にしたイスラムという、宗教でもあり、軍隊でもあり、商業でもあり、国家でもあるような不思議な共同体の諸特徴を押さえることです。もうひとつは、インドの森の中に起源した仏教の複雑な展開を、一方では国家の構想に、他方では個人の生き方に応用されるような思想の形成の側面から見たいと思っています。

今回の講義の骨子です。リンク先に飛んで、遊んでください。

情報文化論2007 第8回 東方の思潮:仏教の展開とイスラム

インド仏教
1.1輪廻業(カルマ):古代ヒンドゥイズム
1.2カーストダールマ(法)
1.3梵我一如の哲学インド哲学
1.4原始仏教集団とインド仏教の流れ
1.5仏教の三蔵言語
1.6大乗仏教
1.7タントリズム

中国仏教
2.1『漢訳大蔵経』
2.2教相判釈(きょうそうはんじゃく)
2.3中国仏教の展開
2.4浄土信仰
2.5華厳思想
2.6日本仏教の展開

イスラム
3.1イスラム教徒六信と五行
3.2スンニー派シーア派
3.3イスラム世界の拡大
3.4円形都市バグダード
3.5イスラム社会:聖俗不分ウンマ共同体
3.6ヨーロッパとの激突(1095年十字軍)