キキョウ

札幌、曇。蒸し暑い。昨夜遅く、岩手県北部で大きな地震があった。札幌も震度2と発表されたが、私はちょうど風呂に入っていて、全く気づかなかった。負傷者がすでに百人を超え、多くの被害が出ているようだ。盛岡に住む親戚に安否を尋ねるメールを出したが、まだ返事はない。

風船が綺麗に五つに割けて、キキョウ(桔梗, Balloon flower, Platycodon grandiflorum)の花が満開だった。キキョウを見るたびに、ぱんぱんに膨らんだ風船状になるプロセスにはどんな意味があるのだろうといつも思う。その時が来るまで大事なものを守るのか、それとも、その時まで何かを蓄えているのか、耐えているのか。

「久しぶりだねえ、ずいぶん会わなかったねえ。どうしてたの?元気かい?よし、よし。めんこいねえ、めんこいねえ」本当に久しぶりにあるおばあさんに出会った。私たちは「めんこいねえのおばあさん」と呼んでいる。お名前は存じ上げない。出会うと必ず「めんこいねえ」を繰り返しながら優しく優しく風太郎を撫でてくれる。風太郎の大好きなおばあさんだ。最近は私たちの方がほんの少し早い時間に散歩していたので出会わなかった。別れ際、風太郎はちょっと名残惜しそうなそぶりを見せた。「そうかい。もっと撫でてほしいのかい?どれ、どれ。」そう言って、おばあさんはまたしばらく風太郎を撫でてくれた。

昨日通りを横断中のカタツムリを車に轢かれるといけないと思って道ばたの安全な場所に運んだ。まだいるかなあと思ってその近辺を探してみたが、姿は見えなかった。