三上：爺、今晩はもう止せよ、眠い…。フーちゃん、フーちゃん。グー。（寝入る。）
爺：三上が寝入ったところで、ワシの出番じゃ。薫ちゃんこと美崎薫さんが言うように、三上はマジメすぎて話が辛気くさいでしょ。固いっていうかさ。皆さんを退屈させるのは罪だよ。ここはもう少し、デンジャラスなエモーションに突き動かされるこのサッポロの手拭爺に語らせてよ。レベルはかなり高いし、リスクも高い話だから覚悟して聞いてね。でも面白いよ、きっと。
昔から人は人生や世界の真実を伝えるために、裸の真実をぼろっと直に話したり、書いたりするんじゃなくて、それを両手でそっと大切に包み込むような、あるいはそれを壊れ物を扱うように大切に運ぶ舟に乗せるようにして、巧みに語る術を開発してきたように思うんだ。（そう、真実ってフラジャイルだからね。フラジャイルって壊れやすいってことね。）物語や小説はそんな技術の総体じゃないかな*1。
真実とやらに一番近そうな哲学も例外じゃない。プラトンは対話篇でしょ、ニーチェだって物語書いているでしょ。科学者だってある時期まではそうだよね。ガリレイだって、ゲーテだって。現代でも私が好きな哲学者は、例えば、アルフォンソ・リンギスなんかは、飛び切り素敵な物語、旅の体験記録を通して、あるときはしみじみとまたあるときには残酷に真実を伝えているんだ。
三上のように大学に所属するような研究者の多くはね、そういう物語る力を忘れがちになるんだ。授業や校務の隙間を縫うようにして業績（論文や研究書）を生産するのに忙しいからね。しょうがない面があるんだけどね。でもね、爺はね、例えば本を書くとしたらね、論文を束ねたような本じゃなあ、つまんねえなあとずっと心底思ってきたわけさ。もちろん、論文の中身にもよるから、一概には言えないけどね。
でも、少なくともワシの場合はブログの方がよほど理想の本に近いよなあって思ってるのね。だってね、止むに止まれぬ自分でもどれくらい深いのか分からないような動機で、しかもデンジャラスかもしれない熱いハートで語るんじゃなきゃ、書くものに本当の力は宿らないと思うわけですよ。そう思ったが最後、ただ業績作る、上げるという動機じゃ、書けなくなるわけね。分かる感じするでしょ。
それでね、授業で話すときには昔からそうだったんだけど、ものを書くときにもね、ブログ続けているうちにね、ほぼ毎日訪ねている数多くのブロガーさん達の物語る力に刺激されてね、ワシも「物語る力」に目ざめちゃったんですよ。だからね、今では論文でだって、物語っちゃうのよ。困った奴だ、危険な爺だと周りからは思われてんだよ。ちゃんとした安全な論文書けってね。自分でも困っちゃうんだけどね。本当は困ってない。確信犯。内緒ね。
今度シュッポロに来てくれる物好きな「危険な子供」、「荒野をめざす青年」たちには見せてあげるからね。危険な爺の危険な物語る論文ってやつを。楽しみにしといて。それ見るだけでも、札幌に来る甲斐があるというもんさ。爺の可愛い企みの一つです。
そうそう、このエントリーの変な長ったらしいタイトルの意味について説明しなきゃね。
「大陸」は安全地帯で、その外側は荒野だよね。で、荒野で生きる場所が「島」だよね。それは何となく分かるでしょ。その気になればいつだって島は見つけられるんだよ。そしてそんな島どうしは繋がれるのさ。金ちゃんが言ってたように「荒野つながり」でね。それはそいつの出すオーラで分かるのさ。ブログ上でだって、現実世界でだってね*2。
で、そのタイトルにはもうひとつ意味を籠めてんだけど、分かるかな。分かんないだろうな。残念だなあ。なんか美崎薫節になってきたけど。「目に見えるものを見ていてはだめだ、心の声に耳を澄ませば、見えないものが見えるかもしれません。」ってね。ついでに復習、「考えるな、見よ！」（ウィトゲンシュタイン）ってね。
もし分かった人がいたら知らせて（コメント欄に）。上の論文無料で送ってあげるから。爺（Jiji）の独りよがりのアンソロジー・ペーパー・アーカイブズ（ＪＡＰＡ）、「ジャパ」って読むの、があるんよ*3。坂ちゃん（id:keitabando）がやってるみたいな最先端のマイ・オープン・アーカイブ（ＭＯＡ, http://www.myopenarchive.org/）、早く話聞きたいね、とは全く関係ないけどね。シュッポロに来る人たちは自ずと分かると思うんだ。これもイヤらしい爺のニクたらしい企みの一つね。
あ、三上がオシッコで目を覚ましそうだから、この辺でね。また明日。（平民さん入ってるな。）
三上：あっ、また爺のやつ、勝手なことほざきやがったな。ん？ でも、面白いこと書いてるな。まんざらでもないか。
