いざ北へ2008その37 中山さんに叱られた

お目付役の中山さんから注意された。

「三ちゃん、抑えて、抑えて。頭はクールにって自分で言っておきながら、なんか凄く熱くなってるみたいだよ」と。「はい、分かりました」と素直な気持ちで私はスターをポチッと一個つけようとした。そしたら、すでにウメちゃんがポチっとつけてるではないか!速い!先を超された私はしまった!と一瞬思ったが、何が、しまった!、なのかはにわかには分からなかった。

中山さんによれば、私は「教育者の資質」を持ち、それは「偏執狂的なところ」、「他人に対する愛情」や「配慮」、「辛抱強さ」に如実に現れているという。そうなのか!と私は私には見えない自分の背中をはっきりと見せられた気がしたので、ちょっと恥ずかしかったけどとても嬉しかった。だって、私は自分に「教育者の資質」があるなんてこれっぽっちも思わないし、それほど「偏執狂的」でもないし、ましてや「他人に対する愛情」や「配慮」などは大きく欠如しているし、「辛抱」が足りないといつも思っている。要するに身勝手で我が儘。それが私の自己認識。ところが、中山さんから見れば、正反対。中山さんのほうがよほど「人を褒めて育てる」という「教育者の資質」があると私は思う。私は中山さんに育てられているのではないか。

面白いね。だから、人生は楽しい。こうして自分には思いも寄らない自分のイメージを知らされるのは僥倖(ぎょうこう)だと思う。

ただ、ちょっと心配なのは、そう言われると、今日から私は「偏執狂的」で「他人に対する愛情」や「配慮」に溢れた「辛抱強い」、そんな「教育者」としての自覚を持って生きて行かなければならないと窮屈に思い込みかねないところ。でもね、そうはならないと思う。それはあくまで傍から見える私の一面だからね。だってね、ウチの奥さんには中山さんの文章見せられない。何言われるか分かったもんじゃない。あら、あなた、家でもそんな姿見せてちょうだい、とかね。

だから、私はやっぱり「教育者の資質」なんて全くなく、飽きっぽくて、他人に対する愛情や配慮に欠け、辛抱が足りない、そんな自己認識でこれから先も生きて行くんだろうな、多分。