早いもので、今日で8月も終わる。8月は体調を崩した風太郎との付き合いが濃密な一ヶ月だった。計四回病院に担ぎ込んだ。
嘔吐と下痢をくり返し、餌もまったく口にしなくなり、立ち上がるのもやっとで、まともに歩けない日もあった。それでも、病院に入ると、気が張るのか、一見元気そうに見える。かかりつけの動物病院の獣医師たちは全員が風太郎好みの優しい笑顔の女性たちだからかもしれない。
一昨日と昨日、緊急の点滴を受けた。その間30分ほど、背中に刺した針が動いて外れないように抱きかかえ続けているときだった。風太郎は気が張っていたせいか四つ足で立ちっぱなしで、私は丸椅子に腰掛け前屈みの姿勢だった。娘たちが、二、三歳の頃にも夜間の救急病院でこんなことがあったなと思い出していた。その時、風太郎が背中の違和感あるいは苦痛のために結構強い力を出してもがき出した。それをなだめながら押さえようとしたとき、腰に電気が走った。ああ、ヤバいかもと思ったが、どうしようもなく、だんだん重たくなる腰を気にしながら点滴を終えた。
幸い、歩けないほどひどくはないので、よかった。
ちなみに、風太郎は一昨日の血液検査で粘膜性の腸炎と診断された。腸がひどい炎症を起こしまともに消化吸収ができなくなっているらしい。前立腺の肥大が進行していることも判明した。両者の因果関係とさらに根本的な原因は未だ不明である。その原因が判明したとしても、手術等に耐える体力はない。とにかく腸の炎症をおさえ、自力で栄養摂取できる状態に持っていくために、しばらく薬に頼るという選択をする他なかった。緊急の栄養補給と抗炎症のための点滴後は少し元気を取り戻し、餌も少しずつだが食べるようになった。消化吸収を助ける錠剤と炎症を抑える錠剤を紛れ込ませた高タンパクの餌である。
まあ、老いもあるしなあ、これからはこんな状態を繰り返すのだろうな、と覚悟を決めた。