- 作者: 新井敏記
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- 作者: 坂口恭平
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参った。面白すぎる。役に立つ。知らなかった。建築探検家の坂口恭平さん。そして彼に見出された「隅田川のエジソン」ことホームレスの鈴木正三さん。
無事に老後を迎えた暁には「大往生の島」というモデルがあるとして、それ以前に家族も職も失って路上に放り出された場合にはどうするか? もし自分がホームレスになった時にはどうするか? そんな時にも楽しく幸せに生きる知恵の運用の仕方、サバイバルのモデルがそこにはあった。
すでに巷では、坂口さんも鈴木さんも、そして「貴金属拾い&路上古道具店主」のKさんも有名人らしかった。
その辺りも含めて、坂口さんの経歴や最近の活動などはホームページに詳しい。
坂口さんのことを知ったきっかけは、本屋で立ち読みしたCOYOTE No.31の「ハロー!・ワークス」という連載だった。「現代の生業を追ったフィールドワーク」と銘打たれ、「貴金属拾い職人」のKさんが、考現学の今和次郎を彷彿とさせる味のあるイラストともに紹介されていた。その切り口と語り口に非常に感心したのだった。
坂口さんは早稲田の建築学科在学中から、大規模な現代建築を設計する建築家に疑問を持ち、人が本来生きるための建築は何かを模索し続けて来たという。そして鈴木正三さんのようなホームレスの「家」に建築の未来の姿を透視する。その辺りもホームページの自筆年譜に詳しい。彼は無闇に暴走する欲望を体現している現代の建築を人間にとって本来必要な器として奪回しようとしているように見える。そしてそれは現代の生活を根本から見直すことにも繋がっている。