ペペロンチーノ、シャンペトル・ブーケ



鷹の爪を多めに使って、あり合わせの具材でペペロンチーニ風パスタを作る。ヴァンソン・レサールのエレガントなシャンペトル・ブーケを眺めながら(『シャンペトルのすべて/ヴァンソン・レサール作品集』グラフィック社)。



シャンペトル・ブーケとは、「まるで野原に咲いている草花を摘みながら束ねたような、野趣溢れるブーケ」のこと。「ブーケの中に風が吹きわたっていくような、伸びやかなフォルムが特徴で、いわゆる「花」だけでなく、雑草のような穂、枝、ツタなどを使うことがポイント」らしい。私も脳内で似たようなブーケを作ることがあるが、言うまでもなく、ヴァンソン・レサールが作るシンプルでエレガントなブーケには遠く及ばない。色や種類がごちゃごちゃ入り交じらないように、潔く削ぎ落とした花合わせと、野草の場合は特に大胆に下葉を落とすなど徹底的な剪定と葉の処理がコツのようだ。ところで、ふとマイケル・ギルモアの本の中に、父親の死の記憶に饐えた花の甘酸っぱい香りが強く結びついている描写があったのを思い出した。死が最後に花のような香りを残していく、と。

 After that, my father began to deteriorate rapidly. He took to his bed one night, and never got up again. He lay there, coughing sputum into a nearby bowl. I can still remember the smell of it: sickly-sweet, like a spoiled flower. That surprized me, that death would end up smelling fragrant.

  Mikal Gilmore, Shot in the Heart, Anchor Books, p.236