賢く生きるための画期的なツールとして美崎薫さんが開発したSmartCalendarについてはこのブログでも教室でも今まで断続的に触れてきた。賢さの内容は、己をよりよく知り、同じ過ちをくりかえさず、世界をより深く見通し、未来さえもかなりな程度見通せるようになる、といったことである。普通はそういうことは理想として言うだけに終わることが多い。しかし美崎さんが開発したツールはそういう賢さを実際に身につけることができるところが凄いというか、画期的なのである。
何度も書いてきたように、知的活動は体験を大切に記録することから始まる。脳の記憶は単純な記録ではないし、ほっとけばどんどん忘れることが脳の特徴のひとつでもあるから、上手に記録することが脳の積極的な活動、例えば発想とか思いつき、そして表現にとっても非常に重要になる。
SmartCalendarは上手な記録を優れた表現にまでシームレスに繋げるための軽快な道具である。どうせパソコンを使うなら、SmartCalendarを試して、パソコンを使う真のメリット、つまり思考を加速し、発想を豊かにする経験を味わうべきである。
***
ところで、SmartCalendarにはWindows版とMac版とがある。Windows版はSmartCalendar(N)、Mac版はSmartCalendar(X)である。Windows版は開発者の中村聡史さんの頭文字Nをとって(N)が付けられている。Mac版は開発者は大坪吾郎さんだが、MacのOSの名前であるOSXのXをとって(X)が付けられている。
***
Windowsユーザーの学生さんは以下の情報源をぜひ活用してほしい。
Windows版のSmartCalendar(N)に関する基本情報:
開発者の中村聡史さんのページ「SmartCalendar(N)」
SmartCalendar(N)の具体的な使いかたに関しては、rairakku6さんが詳しい報告をなさっている。
SmartCalendar使用日記(1)
SmartCalendar使用日記(2)
SmartCalendar使用日記(3)
SmartCalendar使用日記(4)
SmartCalendar(N)の「メモ帳」としての驚くべき使い勝手の良さに関しては、中山さんが報告なさっている。
***
ところで、私は現在Macユーザーなので、Windows版のSmartCalendar(N)は使ったことがない。その代わり大坪吾郎さんが開発したMac版のSmartCalendar(X)を使っている。「同じ」SmartCalendarでもWindowsとMacとでは「実装」されている機能には差がある。
Macを使っている学生さんで興味を持った人は以下の情報源をぜひ活用してほしい。
Mac版のSmartCalendar(X)に関する基本情報:
また、大坪さんの大変興味深い”開発日記”を読むことができる。
SmartCalendar-Part1
SmartCalendar-X-Part2
SmartCalendar-X-Part3
これを読むと、ソフトウェア開発の醍醐味と大変さがひしひしと伝わって来る。
最後に私が「開発」という言葉に関して以前から気にかかっていたことについて書いておきたい。
ソフトウェアを作ることは、物を作ることと少し違ったところがあって、一口に「開発」といっても、大元になるアイデアとパソコンに実装したい機能の「仕様」を考える、言わば「理論的開発」と、それをWindowsのOSだとか、MacのOSだとか違う動作環境に合わせてプログラムを書く「実験的開発」とを区別したほうがいいと私は思う。一般にそのあたりが混同されているように思うからだ。したがって、SmartCalendarやSmartWriteの理論的開発者は美崎薫さんであり、実験的開発者が中村聡史さんであり、大坪吾郎さんである。「理論的開発」には特に広範な知識と深遠な思想が要求される。「実験的開発」には豊かな実験経験と深い専門的知識が要求される。そしてそのような「理論」と「実験」が相互に支え合って全体としての「開発」は進む。