ペルーからの知らせ

アメリカ滞在中に同じアパートに住んでいたのが縁で親しくなった若いカップル、メラニーとビルが南米のペルーにいることを先月メールで知らせてくれた。TravelBlogを利用して、不定期だがペルーから近況を報告し始めたという。
Melanie And Bill

メラニーはあのアーミッシュ系住民のいることでも知られるペンシルバニア州出身の医学生。ビルはオハイオ州出身の中学校の科学の教師。ビルは私が帰国する直前に開いてくれたお別れパーティーでは自慢の弟を紹介してくれた。あのジャック・デリダの有名なアーカイブのあるカリフォルニア大学アーバイン校で政治学を専攻するジョーだった。ジョーは小泉前首相の髪型と政策について色々と質問してくれたことを思い出す。

アパートの敷地内で出会うたびにメラニーとビルは必ず何かと声を掛けてくれた。一人暮らしの私をどこか不憫に感じていたのかもしれない。私自身はむしろ孤独を楽しんでいたのだが。そのうちお互いに食事に招いたり、週末にはハーフ・ムーン・ベイと呼ばれる海岸に一緒に遊びに行くようになった。二人がサーフィンをしている間、私は海辺のカフェで読書したり、海岸を歩いて写真を撮ったりした。

(左から、メラニー、ビル、そしてジョー)
メラニーは将来は小児科の医者志望だった。卒業前に課せられる海外研修プログラムの候補地の選択肢のなかに日本とペルーがあって、どちらにしようか迷っていた。日本なら大阪。ビルはメラニーの行くところならどこにでもボード持参でついて行くと意気込んでいて可笑しかった。ビルは科学一般だけでなく、地理、日本地理にも非常に詳しかった。北海道や札幌はもちろん、青函トンネルまでよく知っていて、日本全国のサーフィンに適した海岸も調べ尽くしていた。しかし、結局メラニーは南米のペルーを選んだ。以前から南米の文化に強く魅せられ、何度も旅行もし、スペイン語も達者だった。

あれから三年経って、忘れかけた頃に、二人から今ペルーにいるよ、と朗報が届いたのだった。メラニーはリマ郊外の貧村で医療関係のプロジェクトに勤しんでいる。ビルはスペイン語を勉強しながら、サーフィンも楽しみ、ボランティア活動も始めたようだ。ネットがなければ、実現しえなかった「再会」のように思えた。