熱いハートにクールな頭

三木成夫先生は、人間の体にも南と北があるんだよ,と言う。南は心臓を中心とする内蔵、北は筋肉を統括する神経中枢としての頭。そして、頭は熱くすると駄目で、お腹は冷やすと良くない。生活の知恵の言葉「頭寒足熱」は科学的にも真理だという。なるほど。

そこで私は考えた。頭は自然と北に向かうのではないか、と。ただし、何が「北」なのかということが問題ではある。必ずしも、地理的な北がそうとは限らないような気もするし。でも、それは体験してみないと分からないことでもあるかもしれない。宮澤賢治は北海道へ、さらにはサハリンへと文字通りの北へ向かった。まるで熱くなった頭を、これでもかこれでもかと冷やそうとしていたかのように。吉田一穂は東京に体を置きながらも、いつも「頭」は故郷、北海道の古平の冷たい海風に当てていたように思われる。熱くなった頭が考えることは危険である。そういうことだろうか。

確かにいつも興奮気味の人の語る言葉は時に聞き苦しい。かといって、間違ったことは言ってないのに、生気の感じられない低い調子の語りには、こちらも気が萎えて来る。きっと、熱いハートにクールな頭が理想なのだろうな。冷たいハートに熱い頭は最悪。熱いハートに熱い頭は危険。冷たいハートにクールな頭は害はない(無邪気?)。整理してみよう。

A 熱いハート&クールな頭……グー
B 冷たいハート&熱い頭……ワースト
C 熱いハート&熱い頭……デンジャラス
D 冷たいハート&クールな頭……イノセント

さて、他人事のように整理してみたが、私はと言えば、ほっとくとC、ごくまれにAとD、そして時々Bかな。総合的には、デンジャラスな奴ということか。こんなこと考えなきゃよかった。