自動連想装置:Memorium, Goromi and Tagsight

記憶と記録をいわば活性化して、想起や連想や発想を豊かにするにはどうしたらいいか。私の「検索エンジン」に対する興味はそこにある。とりわけ、思わぬ発見や突然のひらめきにおける、「思わぬ」や「突然」に隠されたメカニズムを知りたいと思っている。あるいは「驚き」や「喜び」や「ワクワク感」のメカニズムを。そしてそれを新種の道具(文房具)、新種の書斎や教室の創造につなげることが夢である。

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遅ればせながら、渡邊恵太さん開発のMemoriumと大坪吾郎さん開発のGoromiを試してみた。そして先日このブログで簡単に紹介したCLOCKWORKsのTagsightも少し使ってみた。

いずれもインターネットに連動した「自動連想装置」とでも呼ぶべきソフトである。TagsightはいわゆるWeb 2.0のウェブ・アプリケーション、MemoriumはFlashアプリケーション、GoromiはJavaアプリケーションである。それぞれに開発者の個性と発想が活かされた魅力的なソフトである。

Memoriumは残念ながら、なぜか「自動連想」の起点となるデータベースが読み込めず、「自動連想」の醍醐味は味わえなかった。ただ、その瑞々しいインターフェースは本当に「眺めて」いるだけで想起を誘発しそうな気配を持っていると感じた。コンセプトと技術はここに詳しい。

Goromiは開発者大坪吾郎さんの非常にユニークな考えが遺憾なく発揮されたソフトだと感じた。Goromiは、(詳細はこちらで)私が理解したかぎりでは、硬くなりがちな頭を柔らかくするどころか、思いっきり脱力させる方法、あるいは能動的になりすぎて視野が狭くなり煮詰まりがちな脳の働きに受動性を回復させ、意外なつながりや驚くべき関係に気付かせる方法を具現化したソフトである。入力したキーワードが私の想像を遥かに超えてみるみるうちに繋がっていく様子をダイナミックに生成するグラフで見せてくれると同時に関連するテキストと図像が次々とスライドショーされる。

Tagsightは好きなタグ(キーワード)を10個指定することができる。試みに、”空間”、”時間”、”想起”、”タグ”、”情報”、”連想”、”検索”、”記憶”、”シソーラス”、”無意識”を入力してみた。”記憶”では、私が書いた「能動型検索、受動型検索、そして無意識型検索」が拾われてきたのにびっくりしたが、それ以上に、多数の「おお、これは読みたい」と感じた記事が多数のタグとともに見やすく表示されるのに驚いた。全部挙げたいくらいだが、その中でも、一番「これは」と思ったのは、”想起”で拾われてきた「日本の伝統色和色大事典」かな。これは「使える」と思った。

以上は寸評にすぎないが、私が初めてインターネットに触れたときに感じた何かを想起させてくれるソフトたちだった。その「何か」とは、能動性よりも低く見られがちな受動性が秘める創造性の消息に関わることのような気がしている。もとより、両者は車の両輪であることは論をまたないが。