小説

アメリカハナミズキ

海炭市叙景 (小学館文庫)、海炭市叙景 (通常版) [DVD] 佐藤泰志の未完のオムニバス小説『海炭市叙景』に登場する植物は数少ない。芝、アメリカハナミズキ、プラタナス、アカシア(ニセアカシアのこと)、アワタケ(食用茸の一種)、クヌギ、大麻草だけである…

言葉の水鏡

平日作者: 石田千出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2009/10メディア: 単行本 クリック: 35回この商品を含むブログ (12件) を見る 石田千さんの上野の「平日」を綴った文章を読んで、ある年の三月末に上野の不忍池のほとりを歩いたときのことを思い出してい…

美しく復讐すること:金石範の場合

ジョナス・メカスの場合だけでなく、自分を含めて誰にとっても、生きることは失われた故郷への遠回りの旅、決してそこには辿り着けない旅だという思いに随分前から取り憑かれている。最近何本かの関心の線が交差したあたりに、済州島四・三事件、そして金石…

人生の意義

読み続けているだけでなく、毎日切り抜いてファイルし続けているところが偉い。 愛読している新聞連載小説、森見登美彦作・フジモトマサル画『聖なる怠け者の冒険』は今日で44回目を迎えたが、もう/まだ「第二章 充実した土曜日の全貌」の途中である。もう…

一日一本の缶珈琲のような

ほぼ実物大?またまたまたコンビニのくじ引きで缶珈琲が当った! というのは嘘で、今日は一仕事終えてから自販機でこれを買った。なんと珍しいことか。缶珈琲はまず買わないし、よしんば買うとしても断じてブラックのはずなのに、迷わずやや甘のこれを買って…

スマートな地図

新聞連載小説『聖なる怠け者の冒険』(森見登美彦作/フジモトマサル画)は次々と私の関心の壺を刺激する。話の展開からして当然と言えば当然なのだが、「第一章 仮面の男 23」では、とうとうフジモトマモルさんによる挿絵は地図になった。ちょっとびっくり…

カンナワ(鉄輪)

故郷(home)って不思議だ。そこから離れたくなかった、そこに帰りたい、帰るべきだとも感じるが、それが永遠に叶わない、そんな感じの場所。しかも故郷がそれとして強く意識されるようになるのは、すでに「そこ」を離れて他所で生活し苦労している場合だろ…

まるでキリコのような...

珍しいことに、怠惰な私が新聞連載小説『聖なる怠け者の冒険』(森見登美彦作/フジモトマサル画)をまるで紙芝居のような言葉と絵の共演と次を大いに期待させる終わり方=続け方に惹かれて一回も欠かさずに律儀に読み続けている。そう言えば、昨夜藤原新也…

まるで紙芝居のような...

京都の路地を舞台に暗躍する謎の怪人、八兵衛明神の化身、ぽんぽこ仮面の謎の消息を追う謎謎めいたサスペンスタッチの連載小説『聖なる怠け者の冒険』(森見登美彦作/フジモトマサル画、朝日新聞夕刊)を毎晩楽しみにしている。森見登美彦さんの文章にフジ…