民族

ルテニアのアンディ・ウォーホル現代美術館

明日、広場で―ヨーロッパ1989‐1994 (移動鏡シリーズ) ベルリンの壁が崩壊し(1989年)、ソ連邦が解体した(1991年)、正に激動の時代に東欧を旅した記録、17年前に出た港千尋さんの東欧写真集『明日、広場で ヨーロッパ1989–1994』に収録された紀行文を読ん…

引き継がれる旅の記憶

下川裕治さんの「アジア」の旅の語りの中にひとりの興味深い男が登場する。今は亡きフリーランスのジャーナリスト森智章さん。 「石垣島に行ったら、伊原間(いぱるま)へ行くといいよ」 そう教えてくれたのが、知人の森智章君だった。彼は僕よりも少し若か…

闘う言語学者、小島剛一

トルコのもう一つの顔 (中公新書)作者: 小島剛一出版社/メーカー: 中央公論社発売日: 1991/02/01メディア: 新書購入: 14人 クリック: 159回この商品を含むブログ (49件) を見る 近藤さん(id:CUSCUS)の強い勧めで小島剛一著『トルコのもう一つの顔』(中公…

追放の高麗人(コリョサラム)の運命

『流転〜追放の高麗人と日本のメロディー〜』(2003年熊本放送) 高麗人(コリョサラム)とは、1937年に「日本人と見分けがつかない」ことを危険視され、スターリンによって中央アジアの地に追放された約20万人の極東ソ連の朝鮮民族のことである。私は姜信子…

「蛍川」に登場する盲女

螢川・泥の河 (新潮文庫) 富山を舞台にした宮本輝の小説「蛍川」(1977)には、千代の追想の中で、越前(福井)に旅した重竜と千代の前に三味線を弾く盲目の女が登場する場面がある。その女は「盲目で、両目は白く濁っていたが、越前の瞽女と呼ばれる人とは…

記憶を司る女たち

一方的に語られるばかりで、自ら語る言葉を持たなかった存在が既存の言葉をやりくりして語り始めた時、それまで語ることを独占してきた者は、足元を揺さぶられる。 武人たちの観点からすると、当時は一人の男が複数の妻を持っていたとなるが、記憶を司る女た…

日本に行く歌、太平洋のソングライン

チャトウィンによる砂漠の足跡の写真(WINDING PATHS, p.23, asin:0224060503) ブルース・チャトウィン(Charles Bruce Chatwin, 1940–1989)は1986年の夏、骨髄が冒される奇病をわずらい、悪寒に震えながらも、「そこまでやり遂げれば、思い残すことはない…

ネマディ

Bruce Chatwin Home ブルース・チャトウィン(Bruce Charles Chatwin, 1940–1989年)はかつてネマディと呼ばれるサハラ砂漠の狩猟民族の生き残りに会うためにモーリタニアを訪ねた。チャトウィンが実際に会ったのは、スーダン木綿の切れ端を縫い合わせた小さ…